があったらしい。いや、あるらしい。
同じ名前のレジェンドが並ぶんでしょ?
PWも並ぶんでしょ?
刻みジェイスがお互いを刻みあうんでしょ?
これってゲームが長引くんじゃないの?
今以上にお金持ちゲーになるんじゃないの?
読めない・・・
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PWも並ぶんでしょ?
刻みジェイスがお互いを刻みあうんでしょ?
これってゲームが長引くんじゃないの?
今以上にお金持ちゲーになるんじゃないの?
読めない・・・
全然やってないけど、実家に帰ったりするとカード触って眺めたりする。
環境は知らないww
好きなカードが使えればいいよね・・・?レガシーってそうでしょ・・・?
あれ?
環境は知らないww
好きなカードが使えればいいよね・・・?レガシーってそうでしょ・・・?
あれ?
防御力 [423→551]/空きスロ [0]/武器スロ[1]
頭装備:ヘリオスZヘルム [3]
胴装備:ヘリオスZメイル [0]
腕装備:ヘリオスZアーム [1]
腰装備:ヘリオスXコイル [2]
足装備:アーティアXグリーヴ [1]
お守り:伝説の護石(減気攻撃+5) [3]
装飾品:防音珠【1】×2、覚醒珠【3】、奪気珠【2】、奪気珠【1】×2、解放珠【2】
耐性値:火[0] 水[13] 氷[6] 雷[-11] 龍[-24] 計[-16]
スタミナ奪取
高級耳栓
斬れ味レベル+1
覚醒
男/剣/スロ[0]
ヘリオスXキャップ
日向・極[胸当て]
ヘリオスXアーム
ヘリオスXコイル
ヘリオスXグリーヴ
護石(スロット0,匠+5)
破壊王,耳栓,斬れ味レベル+1,覚醒
頭:ヘリオスZ
胴:ドボルZもしくはネブラX・ラングロX・リノブロX
腕:アーティアX
腰:ヘリオスX
足:ヘリオスX
お守り:匠+5
覚醒・切れ味+1・耳栓・砥石・見極め
下位
アロイ一式(砥石、風圧、見切り)・・・汎用性、リオ夫妻の風圧対策
ラングロ一式(回避1、耐震、攻撃小) ・・・回避性能、ガンキン、ドボルの振動対策
上位
ルドロスS(ランナー、酸素、+2で耳栓)・・・ハンマー汎用、水耐性の高さ
フロギィS(采配、毒無効、業物、食事)・・・桜レイア、ルドロス亜種の毒対策とおへそ
リオソウル(見切り2、業物、耳栓)・・・剣士汎用、7スロあるので応用も効く
G級
ラングロX一式(細菌学、耐震、回避)・・・ブラキ対策、胴部分をアップで見ると幸せに
ヘリオス/セレネZ+X腰(高耳、匠)・・・剣士汎用、7スロの空きスロ
他に胴をフロギィXなどに変える方法もあるので、自分の手持ちお守りなどと相談して作成
匠覚醒:ヘリオス/セレネZ頭+アーティア足+他ヘリオス/セレネX(耳栓、覚醒、+3で匠)・・・剣士汎用、空きスロ9
匠+3以上のお守りか装飾品で匠、覚醒、耳栓が発動。
装飾品で発動させる場合、5スロ必要になるので、できればお守りで発動させるほうが楽
ネブラXヘルム
ネブラXメイル
アグナXアーム
大和・極[腰当て]
アーティアXグリーヴ
護石(スロット0,匠+5,斬れ味+3)
爆師[1]*5,回避[2]*3
回避性能+1,業物,斬れ味レベル+1,ボマー,覚醒
武器スロット[1] 防御力[422 → 422]
頭:ベリオXヘルム[2]
胴:ナルガXメイル[1]
腕:フロギィXアーム[1]
腰:ジンオウXコイル[3]
足:ジンオウXグリーヴ[0]
護:護石(匠+5,本気+1)[0]
珠:斬鉄珠【1】, 回避珠【2】, 全開珠【1】×2, 回避珠【1】×3
火[-5] 水[-4] 雷[-4] 氷[-6] 龍[5]
回避性能+1
業物
斬れ味レベル+1
力の解放+1
頭装備:ヘリオスZヘルム [3]
胴装備:ヘリオスZメイル [0]
腕装備:ヘリオスZアーム [1]
腰装備:ヘリオスXコイル [2]
足装備:アーティアXグリーヴ [1]
お守り:伝説の護石(減気攻撃+5) [3]
装飾品:防音珠【1】×2、覚醒珠【3】、奪気珠【2】、奪気珠【1】×2、解放珠【2】
耐性値:火[0] 水[13] 氷[6] 雷[-11] 龍[-24] 計[-16]
スタミナ奪取
高級耳栓
斬れ味レベル+1
覚醒
男/剣/スロ[0]
ヘリオスXキャップ
日向・極[胸当て]
ヘリオスXアーム
ヘリオスXコイル
ヘリオスXグリーヴ
護石(スロット0,匠+5)
破壊王,耳栓,斬れ味レベル+1,覚醒
頭:ヘリオスZ
胴:ドボルZもしくはネブラX・ラングロX・リノブロX
腕:アーティアX
腰:ヘリオスX
足:ヘリオスX
お守り:匠+5
覚醒・切れ味+1・耳栓・砥石・見極め
下位
アロイ一式(砥石、風圧、見切り)・・・汎用性、リオ夫妻の風圧対策
ラングロ一式(回避1、耐震、攻撃小) ・・・回避性能、ガンキン、ドボルの振動対策
上位
ルドロスS(ランナー、酸素、+2で耳栓)・・・ハンマー汎用、水耐性の高さ
フロギィS(采配、毒無効、業物、食事)・・・桜レイア、ルドロス亜種の毒対策とおへそ
リオソウル(見切り2、業物、耳栓)・・・剣士汎用、7スロあるので応用も効く
G級
ラングロX一式(細菌学、耐震、回避)・・・ブラキ対策、胴部分をアップで見ると幸せに
ヘリオス/セレネZ+X腰(高耳、匠)・・・剣士汎用、7スロの空きスロ
他に胴をフロギィXなどに変える方法もあるので、自分の手持ちお守りなどと相談して作成
匠覚醒:ヘリオス/セレネZ頭+アーティア足+他ヘリオス/セレネX(耳栓、覚醒、+3で匠)・・・剣士汎用、空きスロ9
匠+3以上のお守りか装飾品で匠、覚醒、耳栓が発動。
装飾品で発動させる場合、5スロ必要になるので、できればお守りで発動させるほうが楽
ネブラXヘルム
ネブラXメイル
アグナXアーム
大和・極[腰当て]
アーティアXグリーヴ
護石(スロット0,匠+5,斬れ味+3)
爆師[1]*5,回避[2]*3
回避性能+1,業物,斬れ味レベル+1,ボマー,覚醒
武器スロット[1] 防御力[422 → 422]
頭:ベリオXヘルム[2]
胴:ナルガXメイル[1]
腕:フロギィXアーム[1]
腰:ジンオウXコイル[3]
足:ジンオウXグリーヴ[0]
護:護石(匠+5,本気+1)[0]
珠:斬鉄珠【1】, 回避珠【2】, 全開珠【1】×2, 回避珠【1】×3
火[-5] 水[-4] 雷[-4] 氷[-6] 龍[5]
回避性能+1
業物
斬れ味レベル+1
力の解放+1
【小説】古畑任三郎vsAKB48※コピペだけどいいよね(///)ラストとおまけ
2011年10月27日 TCG全般Scene28-11
「えー。前田さん。私は犯人はあなたではないと断言できます」
古畑の語気が強まる。
「このジャンパーの穴は左肩に空いていました。普通、人は物で人を殺害するとき、利き手で凶器を持ち上げもう一方の 手で支えます。その体勢が一番力の入る体勢だからです。そして、被害者の打撲痕は頭の右斜め後ろでした。つまり、犯 人は凶器を右上から左下に振りおろしたということで、これは右利きの人間が殴打したことを意味しています。えー、私 握手のときに確認しました。前田さん、あなたは左利きです」
前田は今度こそ項垂れた。
「古畑さん」
高橋は前田の肩に手を置くと、古畑を見て、一歩前へ踏み出した。
Scene28-12
古畑は先程までの鋭さのない、柔らかい笑みを返した。
「えー。私が最も気になっていたのは、前田さんとストーカーとの接点でも、殺害した人
物が誰かということでもありません。あなた方は犯罪を行うには若すぎます。今まで私が 話したことは、事件から三日後の時点でわかっていました」
「じゃあ、何が?」
「はい。協力者の数です。えー。たとえ、同じグループのメンバーでも、一人の人物のためにこれほど大勢が動くということが、私には信じられませんでした」
「そんなことですか」
「いいえ。滅多にないことです。そこで、私はみなさんに挑戦をしました」
「まさか」
「えー。そうです。あの取り調べです。普通、警察の取り調べに予告なんてありません。
私はあえて予告したんです。取り調べとなると、どこかから綻びが生まれるかもしれませ
ん。その事態を逃れるには、全員の口裏を合わせるしかないんです。しかし、離反者が出
ても、終わりです。えー。あなたたちは見事にそれをやってのけました。これには感動す
ら覚えました。そして、確信しました」
「そうなんですか…。はめられたんですね。わたしたち」
「いえ。結果的にはそうかもしれませんが、あれは私からの挑戦です。あなたたちは見事
私に勝利したんです」
「そうかもしれません」
高橋は口角を上げた。
Scene28-13
「じゃあ、私に会いに来たのは、何のためですか?」
「それは、あなたとお話ししたかったんです」
「私と?」
「はい。えー。この言い方は少しおかしいかもしれませんが、あなたは犯人にふさわしい方で した」
高橋はため息をついた。
「さすがです。すごい推理でした。到底、私たちが敵う人じゃありませんね」
「とんでもございません」
「でも、古畑さん」
「一つだけ、間違ってることがあります」
「なんでしょう?」
「犯人が私以外でも、メンバーは同じことをしていたと思います」
古畑は粛々とお辞儀を返した。高橋はメンバーに振り返った。
「みんな、私のためにありがとう。私がいなくなることを、みんな心配してくれてたみた
いだけど、こんなことがあってもステージに集中できるんだったら、私がいなくたって大 丈夫。この六日間で、それがよくわかった」
高橋は清々しい表情で古畑に向き直った。
「…古畑さん。お願いします」
古畑は指を組んだ。
「ちょっと待ってください」
篠田が進み出た。
Scene28-14
篠田が進み出た。
「この件は今日の最後で必ず発表します。だから、私たちに高橋と一緒にステージに上が
るチャンスをください。東京ドームは、私たちの夢なんです!お願いします!」
深々と頭を下げる。
「お願いします!」
ほかのメンバーも篠田にならう。
「みんな」
古畑が高橋を見る。古畑が頷く。高橋も深々と頭をさげた。
「お願いします!」
古畑はメンバーに背を向け、一二歩足を進めて、止まった。
「実は、私にはまだひとつ気になっていたことがあります」
古畑の口調に、メンバーが顔を上げる。
「えー。それは…」
古畑が向き直る。
「みなさんのステージです」
古畑の一言に、メンバーは一瞬固まった。
「楽しみにしています」
古畑は笑顔を見せると、再び踵を返した。メンバーはその背中に思い切り頭を下げた。
「ありがとうございます!」
「あと何分?」
「十分ぐらい」
「みなみ、円陣組もう」
「うん」
古畑は背中に明るい喧噪を聴きながら、観客席につながる階段へ向かった。
※おまけ
古畑「あなたはどうしてもBirdが歌いたかった…だから高橋さんをライブ前に殺害したー…
えー、いかがでしょうー?」
峯岸「…古畑さんにはかなわないなー。何でもお見通しなんですね」
古畑「光栄ですーうふふふ」
峯岸「でも、これはさすがに知らないと思うけど…実はあの曲、元は私のための曲だったんですよ」
古畑「…」
峯岸「秋元先生が、私をイメージして詞を書いてくださったんです…
だけど、歌唱力の問題で、急に変更になって…
たかみながいなければ…たかみながいなければ、私はっ…!」
古畑「…峯岸さーん…あなたは、ひとつ重大な勘違いをしていますー…
高橋さんは、Birdを、他ならぬあなたに向けて歌っていたんです」
峯岸「えっ…?」
古畑「小嶋さんがー、わたしに教えてくれましたー…
『元々みぃちゃんの曲だから、私はみぃちゃんのためにあの曲を歌わないといけないんだ、
だからこの曲だけは絶対に手抜きはできないんだ』って、日頃から高橋さんは言っていたそうですー…」
峯岸「うそ…私には全然そんなこと…」
スタッフ「峯岸さーん、そろそろ出番です!」
峯岸「古畑さん…Bird、歌いに行ってもいいですか…?これが最初で最後のチャンスなんです…!」
古畑「(頷く)」
峯岸「あ、ありがとうございますっ!」
スタッフ「峯岸さーん、スタンバイお願いしまーす!」
そしてBirdを熱唱する峯岸…
完
「えー。前田さん。私は犯人はあなたではないと断言できます」
古畑の語気が強まる。
「このジャンパーの穴は左肩に空いていました。普通、人は物で人を殺害するとき、利き手で凶器を持ち上げもう一方の 手で支えます。その体勢が一番力の入る体勢だからです。そして、被害者の打撲痕は頭の右斜め後ろでした。つまり、犯 人は凶器を右上から左下に振りおろしたということで、これは右利きの人間が殴打したことを意味しています。えー、私 握手のときに確認しました。前田さん、あなたは左利きです」
前田は今度こそ項垂れた。
「古畑さん」
高橋は前田の肩に手を置くと、古畑を見て、一歩前へ踏み出した。
Scene28-12
古畑は先程までの鋭さのない、柔らかい笑みを返した。
「えー。私が最も気になっていたのは、前田さんとストーカーとの接点でも、殺害した人
物が誰かということでもありません。あなた方は犯罪を行うには若すぎます。今まで私が 話したことは、事件から三日後の時点でわかっていました」
「じゃあ、何が?」
「はい。協力者の数です。えー。たとえ、同じグループのメンバーでも、一人の人物のためにこれほど大勢が動くということが、私には信じられませんでした」
「そんなことですか」
「いいえ。滅多にないことです。そこで、私はみなさんに挑戦をしました」
「まさか」
「えー。そうです。あの取り調べです。普通、警察の取り調べに予告なんてありません。
私はあえて予告したんです。取り調べとなると、どこかから綻びが生まれるかもしれませ
ん。その事態を逃れるには、全員の口裏を合わせるしかないんです。しかし、離反者が出
ても、終わりです。えー。あなたたちは見事にそれをやってのけました。これには感動す
ら覚えました。そして、確信しました」
「そうなんですか…。はめられたんですね。わたしたち」
「いえ。結果的にはそうかもしれませんが、あれは私からの挑戦です。あなたたちは見事
私に勝利したんです」
「そうかもしれません」
高橋は口角を上げた。
Scene28-13
「じゃあ、私に会いに来たのは、何のためですか?」
「それは、あなたとお話ししたかったんです」
「私と?」
「はい。えー。この言い方は少しおかしいかもしれませんが、あなたは犯人にふさわしい方で した」
高橋はため息をついた。
「さすがです。すごい推理でした。到底、私たちが敵う人じゃありませんね」
「とんでもございません」
「でも、古畑さん」
「一つだけ、間違ってることがあります」
「なんでしょう?」
「犯人が私以外でも、メンバーは同じことをしていたと思います」
古畑は粛々とお辞儀を返した。高橋はメンバーに振り返った。
「みんな、私のためにありがとう。私がいなくなることを、みんな心配してくれてたみた
いだけど、こんなことがあってもステージに集中できるんだったら、私がいなくたって大 丈夫。この六日間で、それがよくわかった」
高橋は清々しい表情で古畑に向き直った。
「…古畑さん。お願いします」
古畑は指を組んだ。
「ちょっと待ってください」
篠田が進み出た。
Scene28-14
篠田が進み出た。
「この件は今日の最後で必ず発表します。だから、私たちに高橋と一緒にステージに上が
るチャンスをください。東京ドームは、私たちの夢なんです!お願いします!」
深々と頭を下げる。
「お願いします!」
ほかのメンバーも篠田にならう。
「みんな」
古畑が高橋を見る。古畑が頷く。高橋も深々と頭をさげた。
「お願いします!」
古畑はメンバーに背を向け、一二歩足を進めて、止まった。
「実は、私にはまだひとつ気になっていたことがあります」
古畑の口調に、メンバーが顔を上げる。
「えー。それは…」
古畑が向き直る。
「みなさんのステージです」
古畑の一言に、メンバーは一瞬固まった。
「楽しみにしています」
古畑は笑顔を見せると、再び踵を返した。メンバーはその背中に思い切り頭を下げた。
「ありがとうございます!」
「あと何分?」
「十分ぐらい」
「みなみ、円陣組もう」
「うん」
古畑は背中に明るい喧噪を聴きながら、観客席につながる階段へ向かった。
※おまけ
古畑「あなたはどうしてもBirdが歌いたかった…だから高橋さんをライブ前に殺害したー…
えー、いかがでしょうー?」
峯岸「…古畑さんにはかなわないなー。何でもお見通しなんですね」
古畑「光栄ですーうふふふ」
峯岸「でも、これはさすがに知らないと思うけど…実はあの曲、元は私のための曲だったんですよ」
古畑「…」
峯岸「秋元先生が、私をイメージして詞を書いてくださったんです…
だけど、歌唱力の問題で、急に変更になって…
たかみながいなければ…たかみながいなければ、私はっ…!」
古畑「…峯岸さーん…あなたは、ひとつ重大な勘違いをしていますー…
高橋さんは、Birdを、他ならぬあなたに向けて歌っていたんです」
峯岸「えっ…?」
古畑「小嶋さんがー、わたしに教えてくれましたー…
『元々みぃちゃんの曲だから、私はみぃちゃんのためにあの曲を歌わないといけないんだ、
だからこの曲だけは絶対に手抜きはできないんだ』って、日頃から高橋さんは言っていたそうですー…」
峯岸「うそ…私には全然そんなこと…」
スタッフ「峯岸さーん、そろそろ出番です!」
峯岸「古畑さん…Bird、歌いに行ってもいいですか…?これが最初で最後のチャンスなんです…!」
古畑「(頷く)」
峯岸「あ、ありがとうございますっ!」
スタッフ「峯岸さーん、スタンバイお願いしまーす!」
そしてBirdを熱唱する峯岸…
完
【小説】古畑任三郎vsAKB48※コピペだけどいいよね(///)その14
2011年10月27日 TCG全般Scene28-6
「大島さん。えー。あなたは、感心できる行動力の持ち主です。あなたは私が鋭いと感づ
くと、わざと目立つように行動しました。えー。緊張で口が回らないメンバーを私の追求
から守るためです。私が皆さんにサインをお願いしたときに、あなたは指紋を採取される
ことを警戒して、ほかのメンバーに私のペンを触らせませんでした。あれには感心しまし
た。しかし、あなた、自分のことを忘れていました」
メンバーの視線が大島の背中に注ぐ。大島はうなだれた。
「古畑さん」
前田が声を上げた。
「なんでしょう」
「接点の話の前に、被害者が私のストーカーだってことを証明していただけませんか?私の事務所の男は捕まったんですか?」
「えー。実はその男性非常に逃げるのが上手なんです」
「まだ捕まってないんですか?」
「はい」
「じゃあ…」
「でも、…証明はできます。えー。まず…」
古畑は先程西園寺が運んできたダンボールのなかから、携帯電話を取り出した。
Scene28-7
「犯人たちは、かなり丁寧に処分をしていました。被害者の家にあったであろう写真、パソコン。そして、この携帯もそうです。犯人たちには運が向いていました。携帯の画像は すべてカードに保存されていました。そのため、犯人たちは、カードを処分するだけで済
んだんです。えー。しかし、接点は画像や写真だけでしょうか?」
古畑は携帯を開き、中央のキーを人差し指で押した。軽快な音楽が、静まりかえったド ームを走り抜けていった。
「はい。この曲。前田さん、ご存じですね?」
「…はい」
「曲名をうかがってもよろしいですか?」
「この胸のメロディー…」
「ありがとうございます。これはあなたのソロデビューシングルのカップリング曲です」
そう言って古畑は、キーを打って、音楽を止めた。
「それが、何か?」
「はい。この曲私も聞いたことあるんです。えー。殺人現場でです。私が聞いたのはアラ ームでした。被害者はこの曲をアラームに設定していたんです。では、最初のアラームを
見てみましょう。4時15分です。念のため言っておきますが、午後ではありません、午 前です。えー。前にもお話しした通り、被害者は無職です。アルバイトもやっていません
でした。そんな彼が、4時15分にアラームを設定していたのはどうしてでしょう。前田 さん」
Scene28-8
「えー。最初のアラームが鳴った約15分後にうちの今泉があなたを目撃しました。そして、ちょっと気になって調べてみました。彼はかなりの量アラームを設定しています。4 時15分の次は、12時15分、その次は22時40分。これを見ていて、私はあることに気づきました。そして、私はあなたのマネージャーさんに確認しました。何を。あなたのスケジュールです」
古畑は胸の内ポケットから、一枚の紙を取り出した。
「えー。この日、あなたの最初の仕事は6時に集合です。あなたはいつもタクシーを使うそうですね。あなたのマンションから、最初の仕事場まで余裕をもって向かうには、4時半ごろ、家を出る必要があります。えー、最初の仕事が終了するのは14時5分です。そして、次の仕事、この日は最後の仕事になりますが、これが終了するのが23時55分で した。えー。彼のアラームに戻ってみましょう。んー。一見関係のないように見えます。 しかし、彼のアラームに設定された時刻は、彼の自宅から、あなたの自宅や仕事場まで、
電車で余裕を持って向かうのにちょうどいい時刻なんです。えー。さらに、彼は駅で使わ れているICカードの機能を携帯電話に入れていました。そして、彼はそこに2万円が入
っていました。彼が頻繁に電車を利用していたことがわかります。えー。彼は仕事を終えたあなたを追うために、このアラームを設定していました。この法則は残りの六つのアラームにも当てはまります。…はい。これが、被害者があなたのストーカーだったという証
拠です」
Scene28-9
「えー。被害者は事件当日もこのアラームの通り行動しました。しかし、実際に犯人を殺害したのは違う人物です」
古畑は一度言葉を切った。
「えー。殺したのは高橋さん。あなたですね?」
高橋はまっすぐに古畑を見つめた。
「説明してください」
「もちろんです。…えー。これ、見てください」
古畑はダンボールから、ビニールで包まれた被害者のジャンパーを取り出した。
Scene28-10
「被害者が着用していたジャンパーです。ここ、見てください。破れています。かなり大きな穴です。中の綿が出てきているので、鋭利な刃物ではなく、なにか引っかかりのあるもので破いたことになります。そこでピンと
きました。…そして、臭いを嗅いでみました。案の定、あの強烈な臭いでした。つまり、このジャンパーの穴は、その位置から見ても、犯人がこの石で後頭部を殴った後、その重さに耐えられず、落とした際に破れた穴だと
考えられます。しかし、凶器に使われたこの石は非常に軽いんです。女性でも、両手ならあの程度の重さは振りまわすことができます。しかし、犯人は耐えられなかったんです。つまり、腕に力の入る状況ではなかったとい
うことです。そこで、私はあなたに目をつけました。あなたは左腕を怪我していました。あなたがこの凶器で被害者を殴り殺したんです」
水を打ったように静かになった空間で、一つの声が上がった。
「その通りです。古畑さん。私が…」
「違います!私がやったんです!」
前田が高橋を遮る。興奮する前田を、古畑は手で制した。
「大島さん。えー。あなたは、感心できる行動力の持ち主です。あなたは私が鋭いと感づ
くと、わざと目立つように行動しました。えー。緊張で口が回らないメンバーを私の追求
から守るためです。私が皆さんにサインをお願いしたときに、あなたは指紋を採取される
ことを警戒して、ほかのメンバーに私のペンを触らせませんでした。あれには感心しまし
た。しかし、あなた、自分のことを忘れていました」
メンバーの視線が大島の背中に注ぐ。大島はうなだれた。
「古畑さん」
前田が声を上げた。
「なんでしょう」
「接点の話の前に、被害者が私のストーカーだってことを証明していただけませんか?私の事務所の男は捕まったんですか?」
「えー。実はその男性非常に逃げるのが上手なんです」
「まだ捕まってないんですか?」
「はい」
「じゃあ…」
「でも、…証明はできます。えー。まず…」
古畑は先程西園寺が運んできたダンボールのなかから、携帯電話を取り出した。
Scene28-7
「犯人たちは、かなり丁寧に処分をしていました。被害者の家にあったであろう写真、パソコン。そして、この携帯もそうです。犯人たちには運が向いていました。携帯の画像は すべてカードに保存されていました。そのため、犯人たちは、カードを処分するだけで済
んだんです。えー。しかし、接点は画像や写真だけでしょうか?」
古畑は携帯を開き、中央のキーを人差し指で押した。軽快な音楽が、静まりかえったド ームを走り抜けていった。
「はい。この曲。前田さん、ご存じですね?」
「…はい」
「曲名をうかがってもよろしいですか?」
「この胸のメロディー…」
「ありがとうございます。これはあなたのソロデビューシングルのカップリング曲です」
そう言って古畑は、キーを打って、音楽を止めた。
「それが、何か?」
「はい。この曲私も聞いたことあるんです。えー。殺人現場でです。私が聞いたのはアラ ームでした。被害者はこの曲をアラームに設定していたんです。では、最初のアラームを
見てみましょう。4時15分です。念のため言っておきますが、午後ではありません、午 前です。えー。前にもお話しした通り、被害者は無職です。アルバイトもやっていません
でした。そんな彼が、4時15分にアラームを設定していたのはどうしてでしょう。前田 さん」
Scene28-8
「えー。最初のアラームが鳴った約15分後にうちの今泉があなたを目撃しました。そして、ちょっと気になって調べてみました。彼はかなりの量アラームを設定しています。4 時15分の次は、12時15分、その次は22時40分。これを見ていて、私はあることに気づきました。そして、私はあなたのマネージャーさんに確認しました。何を。あなたのスケジュールです」
古畑は胸の内ポケットから、一枚の紙を取り出した。
「えー。この日、あなたの最初の仕事は6時に集合です。あなたはいつもタクシーを使うそうですね。あなたのマンションから、最初の仕事場まで余裕をもって向かうには、4時半ごろ、家を出る必要があります。えー、最初の仕事が終了するのは14時5分です。そして、次の仕事、この日は最後の仕事になりますが、これが終了するのが23時55分で した。えー。彼のアラームに戻ってみましょう。んー。一見関係のないように見えます。 しかし、彼のアラームに設定された時刻は、彼の自宅から、あなたの自宅や仕事場まで、
電車で余裕を持って向かうのにちょうどいい時刻なんです。えー。さらに、彼は駅で使わ れているICカードの機能を携帯電話に入れていました。そして、彼はそこに2万円が入
っていました。彼が頻繁に電車を利用していたことがわかります。えー。彼は仕事を終えたあなたを追うために、このアラームを設定していました。この法則は残りの六つのアラームにも当てはまります。…はい。これが、被害者があなたのストーカーだったという証
拠です」
Scene28-9
「えー。被害者は事件当日もこのアラームの通り行動しました。しかし、実際に犯人を殺害したのは違う人物です」
古畑は一度言葉を切った。
「えー。殺したのは高橋さん。あなたですね?」
高橋はまっすぐに古畑を見つめた。
「説明してください」
「もちろんです。…えー。これ、見てください」
古畑はダンボールから、ビニールで包まれた被害者のジャンパーを取り出した。
Scene28-10
「被害者が着用していたジャンパーです。ここ、見てください。破れています。かなり大きな穴です。中の綿が出てきているので、鋭利な刃物ではなく、なにか引っかかりのあるもので破いたことになります。そこでピンと
きました。…そして、臭いを嗅いでみました。案の定、あの強烈な臭いでした。つまり、このジャンパーの穴は、その位置から見ても、犯人がこの石で後頭部を殴った後、その重さに耐えられず、落とした際に破れた穴だと
考えられます。しかし、凶器に使われたこの石は非常に軽いんです。女性でも、両手ならあの程度の重さは振りまわすことができます。しかし、犯人は耐えられなかったんです。つまり、腕に力の入る状況ではなかったとい
うことです。そこで、私はあなたに目をつけました。あなたは左腕を怪我していました。あなたがこの凶器で被害者を殴り殺したんです」
水を打ったように静かになった空間で、一つの声が上がった。
「その通りです。古畑さん。私が…」
「違います!私がやったんです!」
前田が高橋を遮る。興奮する前田を、古畑は手で制した。
【小説】古畑任三郎vsAKB48※コピペだけどいいよね(///)その13
2011年10月27日 TCG全般Scene28-1
―事件から六日後 東京ドーム―
コンサート当日。
古畑は最後のリハーサルが終わったあとで、戸賀崎に頼んでメンバー
をステージ裏に集合させた。
「はじめましての方。警視庁の古畑と申します。さて、みなさんにはコ
ンサートの前にお話ししておきたいことがあります」
「事件のことですか?」
大島が訊く。
「はい。えー。今回の事件は特殊です。一人の犯人に対して非常に多く
の協力者がいます」
古畑の前にいる少女たちは口をつぐんでいる。古畑は続けた。
「協力者は様々な工作を行いました。…特に私が気になったのは、凶器
です。凶器は石でした。えー。被害者が殺害された公園には、花壇があ
ります。その花壇は、このような石で囲まれていました」
古畑は花壇の写真をメンバーの前に掲げた。
「何かお気づきになりませんか?えー。大島さん」
「一つ、ありませんね」
「そうです、一つありません。んー。この石はどこへいったんでしょうか。
…えー。もう見つからないでしょうが、私は知っています。おそらく、湖の
底です。…大島さん、指原さん、北原さん、横山さん。あなた方四人は事件
の翌日、琵琶湖畔で撮影がありました。一泊二日で。そして、大島さん」
古畑は大島を見据えた。さすがの大島も表情がひきつった。
Scene28-2
「はい」
「あなたの荷物だけが、キャリーケースでした。そして、あなたはそれを、軽々と持ち上 げていました。それも、えー、片手で。普通、あのキャリーケースのなかにまともな荷物 が入っていたら、男性の力でも片手では相当な力が要ります。それをあなたは片手で持ち 上げていたんです。私は驚きました。しかし、あなたに男性並みの力があるわけではあり
ません。そうなると、キャリーケースのなかには、軽く、そして大きくてかさばるような ものが入っていたと考えるのが自然です。…西園寺君」
「はい」
古畑が呼ぶと、西園寺が滑車に凶器と同じ石とダンボールを乗せて現れた。古畑はダン ボールを滑車から下ろし、石だけが乗った滑車をメンバーの正面に移動させた。
「はい。見てください。公園にあったのと同じものです。この石ですが、実は非常に軽い んです。女性でも簡単に持ち上げられます。そして、えー、普通の旅行鞄には入らないサ イズです。あなたはこれをキャリーケースに入れていたんです」
「それが私の荷物に入ってたとして、そのことをどうやって証明するんですか?」
Scene28-3
大島が食い気味に訊ねる。
「はい。実は、この石。特殊な素材を使ってこの軽さを実現しています。しかし、この素 材…」
すると、古畑は言葉を切って石に鼻を近づけた。しかし、まもなくむせて顔をそむけた。
そして笑う。
「えー。まったく強烈な臭いです。いくら外に置くものだとしても、私はいただけません。
しかも、この臭いは、一回移るとなかなか消えてくれません。西園寺君」
「はい」
再び西園寺が持ち運んできたものに、大島の顔から血の気が引いた。古畑は得意の笑みを浮かべる。
「えー。どこかで、見覚えがありますか?」
古畑はキャリーケースを持ち上げながら訊く。
「西園寺君。これ誰の?」
「大島さんのものです」
「どこにあった?」
「ごみ捨て場です」。
「ありがとう。西園寺君。外で待っててくれる?」
西園寺は一礼し、去って行った。
Scene28-4
「お聞きになりましたか、大島さん。西園寺君に頼んでおいて正解でした。ぎりぎり間に
合ったそうです。それで、このキャリーケース捨てられていたんです。まだ、問題なく使 うことができるのに」
古畑はキャリーケースの持ち手を伸ばし、引っ張って見せた。
「えー。あなたには、どうしてもこれを捨てなければならない理由があったんです」
古畑はキャリーケースを開けると、石にしたように鼻を近づけ、鋭い笑みを浮かべた。
「えー。なかなか強烈な臭いがします。この中に荷物を入れようとは誰も思いません。確 実に、臭いが移ってしまいますから。では大島さん、嗅いでみますか?」
大島は驚いてはいたが、言葉を返した。
「いいですよ」
古畑は無言で頷き、紳士的な動作で大島を誘導した。大島はキャリーケースを開け、中 の臭いを嗅ぎ、そのまま表情を変えず、石の臭いも嗅いだ。
「同じ臭いがします。でも…、でも、私がこのキャリーケースを所持していたとは証明できませんよ。私はこの石を持ってませんから」
Scene28-5
「では、この臭いがする石をあなたとまったく同じキャリーケースに入れて持ち運び、そ
して破棄した人物がいたということですか?」
「はい」
大島が答える。古畑は舌を鳴らした。
「えー。なかなか面白いことをおっしゃいます。…いいでしょう。これがあなたの所有物
だと証明する最も強力な証拠は、指紋です。もし、これが本当にあなたのものなら、あな
たの指紋がいたるところについているはずです。違いますか?」
大島は頷く。
「えー。さて…。大島さん。みなさんも、これ覚えていらっしゃいますか?」
そう言って古畑がダンボールから取り出したものに、大島は息を呑んだ。
「そうです。私の差し入れしたクッキーの空き箱です。これを差し入れした日に、これに触れていたのは、大島さん、あなただけです」
と、古畑はクッキーを指で弾いた。大島は言葉を失くした。
―事件から六日後 東京ドーム―
コンサート当日。
古畑は最後のリハーサルが終わったあとで、戸賀崎に頼んでメンバー
をステージ裏に集合させた。
「はじめましての方。警視庁の古畑と申します。さて、みなさんにはコ
ンサートの前にお話ししておきたいことがあります」
「事件のことですか?」
大島が訊く。
「はい。えー。今回の事件は特殊です。一人の犯人に対して非常に多く
の協力者がいます」
古畑の前にいる少女たちは口をつぐんでいる。古畑は続けた。
「協力者は様々な工作を行いました。…特に私が気になったのは、凶器
です。凶器は石でした。えー。被害者が殺害された公園には、花壇があ
ります。その花壇は、このような石で囲まれていました」
古畑は花壇の写真をメンバーの前に掲げた。
「何かお気づきになりませんか?えー。大島さん」
「一つ、ありませんね」
「そうです、一つありません。んー。この石はどこへいったんでしょうか。
…えー。もう見つからないでしょうが、私は知っています。おそらく、湖の
底です。…大島さん、指原さん、北原さん、横山さん。あなた方四人は事件
の翌日、琵琶湖畔で撮影がありました。一泊二日で。そして、大島さん」
古畑は大島を見据えた。さすがの大島も表情がひきつった。
Scene28-2
「はい」
「あなたの荷物だけが、キャリーケースでした。そして、あなたはそれを、軽々と持ち上 げていました。それも、えー、片手で。普通、あのキャリーケースのなかにまともな荷物 が入っていたら、男性の力でも片手では相当な力が要ります。それをあなたは片手で持ち 上げていたんです。私は驚きました。しかし、あなたに男性並みの力があるわけではあり
ません。そうなると、キャリーケースのなかには、軽く、そして大きくてかさばるような ものが入っていたと考えるのが自然です。…西園寺君」
「はい」
古畑が呼ぶと、西園寺が滑車に凶器と同じ石とダンボールを乗せて現れた。古畑はダン ボールを滑車から下ろし、石だけが乗った滑車をメンバーの正面に移動させた。
「はい。見てください。公園にあったのと同じものです。この石ですが、実は非常に軽い んです。女性でも簡単に持ち上げられます。そして、えー、普通の旅行鞄には入らないサ イズです。あなたはこれをキャリーケースに入れていたんです」
「それが私の荷物に入ってたとして、そのことをどうやって証明するんですか?」
Scene28-3
大島が食い気味に訊ねる。
「はい。実は、この石。特殊な素材を使ってこの軽さを実現しています。しかし、この素 材…」
すると、古畑は言葉を切って石に鼻を近づけた。しかし、まもなくむせて顔をそむけた。
そして笑う。
「えー。まったく強烈な臭いです。いくら外に置くものだとしても、私はいただけません。
しかも、この臭いは、一回移るとなかなか消えてくれません。西園寺君」
「はい」
再び西園寺が持ち運んできたものに、大島の顔から血の気が引いた。古畑は得意の笑みを浮かべる。
「えー。どこかで、見覚えがありますか?」
古畑はキャリーケースを持ち上げながら訊く。
「西園寺君。これ誰の?」
「大島さんのものです」
「どこにあった?」
「ごみ捨て場です」。
「ありがとう。西園寺君。外で待っててくれる?」
西園寺は一礼し、去って行った。
Scene28-4
「お聞きになりましたか、大島さん。西園寺君に頼んでおいて正解でした。ぎりぎり間に
合ったそうです。それで、このキャリーケース捨てられていたんです。まだ、問題なく使 うことができるのに」
古畑はキャリーケースの持ち手を伸ばし、引っ張って見せた。
「えー。あなたには、どうしてもこれを捨てなければならない理由があったんです」
古畑はキャリーケースを開けると、石にしたように鼻を近づけ、鋭い笑みを浮かべた。
「えー。なかなか強烈な臭いがします。この中に荷物を入れようとは誰も思いません。確 実に、臭いが移ってしまいますから。では大島さん、嗅いでみますか?」
大島は驚いてはいたが、言葉を返した。
「いいですよ」
古畑は無言で頷き、紳士的な動作で大島を誘導した。大島はキャリーケースを開け、中 の臭いを嗅ぎ、そのまま表情を変えず、石の臭いも嗅いだ。
「同じ臭いがします。でも…、でも、私がこのキャリーケースを所持していたとは証明できませんよ。私はこの石を持ってませんから」
Scene28-5
「では、この臭いがする石をあなたとまったく同じキャリーケースに入れて持ち運び、そ
して破棄した人物がいたということですか?」
「はい」
大島が答える。古畑は舌を鳴らした。
「えー。なかなか面白いことをおっしゃいます。…いいでしょう。これがあなたの所有物
だと証明する最も強力な証拠は、指紋です。もし、これが本当にあなたのものなら、あな
たの指紋がいたるところについているはずです。違いますか?」
大島は頷く。
「えー。さて…。大島さん。みなさんも、これ覚えていらっしゃいますか?」
そう言って古畑がダンボールから取り出したものに、大島は息を呑んだ。
「そうです。私の差し入れしたクッキーの空き箱です。これを差し入れした日に、これに触れていたのは、大島さん、あなただけです」
と、古畑はクッキーを指で弾いた。大島は言葉を失くした。
【小説】古畑任三郎vsAKB48※コピペだけどいいよね(///)その12
2011年10月27日 TCG全般Scene26
―事件から五日後 東京ドーム―
戸賀崎は向こうからやってきたシルエットに肩を落とした。
「戸賀崎さん。おはようございます」
「今度は何ですか?」
「ご心配なく。今日は横やりを入れるつもりはありません。リハーサルが終わるまで大人
しくしてます。ただ、ひとつお願いがあります」
「なんですか」
「リハーサルの様子を見せていただけないでしょうか?」
戸賀崎はしばらく考えていたが、やがて渋々頷いた。
「いいですよ。こちらへ」
戸賀崎はなるべく目立たない席に古畑を案内した。
「ここでよろしいですか?」
「ありがとうございます」
「くれぐれも、彼女たちの気を散らすようなことをしないようにお願いしますよ」
「はい。肝に銘じておきます」
戸賀崎が去ったあと、古畑はリハーサルが終了するまで彼女たちを見つめ続けていた。
Scene27-1
高橋がリハーサルを終え、ステージを下りると、一人の男が立っていた。
「どうも。はじめまして」
「は、はじめまして」
「警視庁の古畑です」
「あ。警察の。メンバーから聞いてますよ」
「忙しいところ。ご迷惑をおかけします」
「いいえ。刑事さんの仕事はこういうことなんですから、仕方ないですよ」
「理解していただけると、助かります。腕の調子はどうですか?」
「ご存じなんですか?」
「はい。支配人の方からうかがいました」
「そうですか。でも、もう大丈夫です。それより、犯人は捕まりそうですか?」
「はい。おかげさまで」
「そうですか。よかった。やっとみんなが楽しく仕事できます」
「楽しく?」
Scene27-2
「はい。リハーサルはみんな真剣で、頑張ってくれてます。でも、楽しんでないんです」
「楽しむ、というのは?」
「そのままの意味です。私たちのライブは、お客さんを楽しませるんじゃなくて、お客さんと一緒に楽しむものだと思ってるんです。まず、私たちのステージに立つ喜びとか楽しさがあって、それがお客さんに伝わって一体感が生まれてくると思うんです」
古畑は笑顔で拍手をした。高橋が首をかしげる。
「えー。キャプテンなんですか?」
「はい。一応」
「さすが。素晴らしいことをおっしゃいます」
「それほどでも。ですから、犯人早く捕まえてくださいね」
「わかりました」
「私は次の仕事があるので、これで失礼します」
高橋は頭を深く下げると、リボンで上げた後ろ髪を揺らしながら、走っていった。
―事件から五日後 東京ドーム―
戸賀崎は向こうからやってきたシルエットに肩を落とした。
「戸賀崎さん。おはようございます」
「今度は何ですか?」
「ご心配なく。今日は横やりを入れるつもりはありません。リハーサルが終わるまで大人
しくしてます。ただ、ひとつお願いがあります」
「なんですか」
「リハーサルの様子を見せていただけないでしょうか?」
戸賀崎はしばらく考えていたが、やがて渋々頷いた。
「いいですよ。こちらへ」
戸賀崎はなるべく目立たない席に古畑を案内した。
「ここでよろしいですか?」
「ありがとうございます」
「くれぐれも、彼女たちの気を散らすようなことをしないようにお願いしますよ」
「はい。肝に銘じておきます」
戸賀崎が去ったあと、古畑はリハーサルが終了するまで彼女たちを見つめ続けていた。
Scene27-1
高橋がリハーサルを終え、ステージを下りると、一人の男が立っていた。
「どうも。はじめまして」
「は、はじめまして」
「警視庁の古畑です」
「あ。警察の。メンバーから聞いてますよ」
「忙しいところ。ご迷惑をおかけします」
「いいえ。刑事さんの仕事はこういうことなんですから、仕方ないですよ」
「理解していただけると、助かります。腕の調子はどうですか?」
「ご存じなんですか?」
「はい。支配人の方からうかがいました」
「そうですか。でも、もう大丈夫です。それより、犯人は捕まりそうですか?」
「はい。おかげさまで」
「そうですか。よかった。やっとみんなが楽しく仕事できます」
「楽しく?」
Scene27-2
「はい。リハーサルはみんな真剣で、頑張ってくれてます。でも、楽しんでないんです」
「楽しむ、というのは?」
「そのままの意味です。私たちのライブは、お客さんを楽しませるんじゃなくて、お客さんと一緒に楽しむものだと思ってるんです。まず、私たちのステージに立つ喜びとか楽しさがあって、それがお客さんに伝わって一体感が生まれてくると思うんです」
古畑は笑顔で拍手をした。高橋が首をかしげる。
「えー。キャプテンなんですか?」
「はい。一応」
「さすが。素晴らしいことをおっしゃいます」
「それほどでも。ですから、犯人早く捕まえてくださいね」
「わかりました」
「私は次の仕事があるので、これで失礼します」
高橋は頭を深く下げると、リボンで上げた後ろ髪を揺らしながら、走っていった。
【小説】古畑任三郎vsAKB48※コピペだけどいいよね(///)その11
2011年10月27日 TCG全般Scene22-1
―事件から三日後 楽屋―
「どうする?」
秋元が椅子の一つに腰かけながら言う。楽屋は事件当夜のような沈黙に閉ざされていた。
「二期生には言ったんだよね?」
「うん」
「拡げて大丈夫かな?」
板野が続いて疑問を出す。
「あまり、現実的じゃないよね」
と、峯岸。
「うん。でも、このままでも時間の問題じゃない?メンバーのほとんどが、刑事に付きま
とわれてるあっちゃんを目撃してるし、噂も広まってるし、明日刑事が来たら何にもしないでもバレると思う」
優子が弁を振るう。
「確かに。そこで、取り調べなんて受けたら絶対ぼろ出そう」
宮澤が頷く。
「でも、本当のことを言ったら誰かが漏らさないって保障もないんでしょ?」
小嶋が冷静に言う。
「賭けだよね。みんなの天秤にかけて、重いのは正義か東京ドームか」
秋元が呟く。
「麻里子は?」
板野が訊く。篠田はずっと考え込んでいる。
「私は…、言うべきだと思う」
Scene22-2
篠田の意見は続く。
「これはみなみの口から話すのが妥当で説得力あるし、でもそのことでまたみなみに負担
がかかるのも事実だけど」
「どう思うゆきりん?」
板野が訊いた。
「私、ですか?」
柏木は少し驚いたが、すぐに口を開いた。
「私は言った方がいいと思います。あの、気持ちの問題だと思うんです。事前に告白され
るのと、バレてから言われるのと。こんなこと言いたくないですけど、もし、仮に、裏切 り者が出るおそれがあるんだったら、私とNot yetの三人は監視役をやるつもりでいます」
「それは…」
「わかってるんです。私たちは期もバラバラで、チームも分かれていて、由依ちゃんは4 にパイプがある。4人で相談しました」
楽屋は再び沈黙に閉ざされた。しかし、小嶋がため息をついた。その顔は笑顔だ。
「ゆきりんに言っといてよかった」
「決まりだね」
才加が手を打つ。
「今日中にみんなを集めよう」
「心配しなくても平気だよ、ゆきりん。今の私たちから裏切り者なんて出ない」
大島が自信満々に言う。
「はい」
Scene23
―事件から三日後 事件現場―
「そういえばさ。西園寺君。凶器の重さわかったの?」
「はい。2.3キロでした」
「2.3?随分と軽いんだね」
「はい」
「なんでそんなに軽いの?」
「特殊な素材でできているそうです」
「へぇ」
「ただ、その素材、ものすごい刺激臭なんです」
「刺激臭?」
「はい。紫外線の影響で設置してから一週間後には臭いが無くなるそうです」
「えー。花壇が設置されたのはいつ?」
「五日前の午後です。ちょうど、事件の前日です」
「んー。そう。西園寺君」
「はい。ちょっと頼みたいことがあるんだけど」
Scene24
―事件から四日後 東京ドーム―
「よし。そこまで。2コーラス目のサビの入り、遅れてるよ。もう一回!」
「はい!」
高橋はステージ上で檄を飛ばしている。その背中に戸賀崎から声がかかった。
「高橋」
「はい」
「警察の方がお見えだ。前田を呼んでくれるか?」
「…はい」
「ちょっとストップ!…あっちゃん、警察の人が」
「…わかった」
前田は置いてあったタオルで汗をふき、飲料を口に含んでから、裏に向かった。
Scene25
―東京ドーム 外―
「お疲れ」
走ってくる西園寺に古畑が言う。
「なんか出た?」
「何も出ませんでした。全員、知りません、やってません、の一点張りです」
「そう」
「こんな取り調べ意味あったんですか?」
「西園寺君」
「はい」
「僕のすることに意味のないことなんてないよ」
「じゃあ、何かわかったんですか?」
「西園寺君」
「はい」
「あと一日待ってくれる。まだ確認しなきゃいけないことがあるんだよ」
「わかりました」
―事件から三日後 楽屋―
「どうする?」
秋元が椅子の一つに腰かけながら言う。楽屋は事件当夜のような沈黙に閉ざされていた。
「二期生には言ったんだよね?」
「うん」
「拡げて大丈夫かな?」
板野が続いて疑問を出す。
「あまり、現実的じゃないよね」
と、峯岸。
「うん。でも、このままでも時間の問題じゃない?メンバーのほとんどが、刑事に付きま
とわれてるあっちゃんを目撃してるし、噂も広まってるし、明日刑事が来たら何にもしないでもバレると思う」
優子が弁を振るう。
「確かに。そこで、取り調べなんて受けたら絶対ぼろ出そう」
宮澤が頷く。
「でも、本当のことを言ったら誰かが漏らさないって保障もないんでしょ?」
小嶋が冷静に言う。
「賭けだよね。みんなの天秤にかけて、重いのは正義か東京ドームか」
秋元が呟く。
「麻里子は?」
板野が訊く。篠田はずっと考え込んでいる。
「私は…、言うべきだと思う」
Scene22-2
篠田の意見は続く。
「これはみなみの口から話すのが妥当で説得力あるし、でもそのことでまたみなみに負担
がかかるのも事実だけど」
「どう思うゆきりん?」
板野が訊いた。
「私、ですか?」
柏木は少し驚いたが、すぐに口を開いた。
「私は言った方がいいと思います。あの、気持ちの問題だと思うんです。事前に告白され
るのと、バレてから言われるのと。こんなこと言いたくないですけど、もし、仮に、裏切 り者が出るおそれがあるんだったら、私とNot yetの三人は監視役をやるつもりでいます」
「それは…」
「わかってるんです。私たちは期もバラバラで、チームも分かれていて、由依ちゃんは4 にパイプがある。4人で相談しました」
楽屋は再び沈黙に閉ざされた。しかし、小嶋がため息をついた。その顔は笑顔だ。
「ゆきりんに言っといてよかった」
「決まりだね」
才加が手を打つ。
「今日中にみんなを集めよう」
「心配しなくても平気だよ、ゆきりん。今の私たちから裏切り者なんて出ない」
大島が自信満々に言う。
「はい」
Scene23
―事件から三日後 事件現場―
「そういえばさ。西園寺君。凶器の重さわかったの?」
「はい。2.3キロでした」
「2.3?随分と軽いんだね」
「はい」
「なんでそんなに軽いの?」
「特殊な素材でできているそうです」
「へぇ」
「ただ、その素材、ものすごい刺激臭なんです」
「刺激臭?」
「はい。紫外線の影響で設置してから一週間後には臭いが無くなるそうです」
「えー。花壇が設置されたのはいつ?」
「五日前の午後です。ちょうど、事件の前日です」
「んー。そう。西園寺君」
「はい。ちょっと頼みたいことがあるんだけど」
Scene24
―事件から四日後 東京ドーム―
「よし。そこまで。2コーラス目のサビの入り、遅れてるよ。もう一回!」
「はい!」
高橋はステージ上で檄を飛ばしている。その背中に戸賀崎から声がかかった。
「高橋」
「はい」
「警察の方がお見えだ。前田を呼んでくれるか?」
「…はい」
「ちょっとストップ!…あっちゃん、警察の人が」
「…わかった」
前田は置いてあったタオルで汗をふき、飲料を口に含んでから、裏に向かった。
Scene25
―東京ドーム 外―
「お疲れ」
走ってくる西園寺に古畑が言う。
「なんか出た?」
「何も出ませんでした。全員、知りません、やってません、の一点張りです」
「そう」
「こんな取り調べ意味あったんですか?」
「西園寺君」
「はい」
「僕のすることに意味のないことなんてないよ」
「じゃあ、何かわかったんですか?」
「西園寺君」
「はい」
「あと一日待ってくれる。まだ確認しなきゃいけないことがあるんだよ」
「わかりました」
【小説】古畑任三郎vsAKB48※コピペだけどいいよね(///)その10
2011年10月27日 TCG全般Scene19-1
―事件から二日後 握手会会場―
「あぁ。おはよう。今泉くん」
「おはようじゃないですよ。古畑さんが遅いから、入れなくなっちゃったじゃないですか」
「入れなくなった?」
「入場制限ですよ」
「入場制限?」
「二万五千人以上入ったから制限されてるんです」
「そんなに入ってるの?すごいんだねぇ。AKBって」
「感心してる場合じゃないですよ」
「握手できないの?」
「握手はできますよ。でも、イベントが…」
「だったらいいじゃないか」
「そんな…」
「そういえば、握手には券みたいなものが必要だって聞いたんだけど」
「握手券…」
「そう。今泉くん持ってる?」
「え?古畑さん持ってないんですか?」
「持ってないよ。だからついてきたんじゃないか」
Scene19-2
「そんな。僕二枚しか持ってないんですよ」
「二枚?十分じゃないか」
「十分じゃないですよ。さしことあっちゃん一回分ですよ」
「さしこって、指原さんだっけ?」
「はい」
「その人が推しなんでしょ?」
「まぁ、はい…」
「君は指原さんにも握手して前田さんにも握手するんでしょ?」
「…はい」
「そんなの指原さんに失礼じゃないか」
「…はい」
「だから君はいつまでも結婚できないんだよ」
「ふっ、古畑さんだって結婚してないじゃないか」
「そうだよ。でも君みたいに色々な女性に目移りはしないよ。ほら」
古畑は今泉に掌を差し出した。
「わ、わかりましたよ」
今泉は渋々と、券を手渡した。
Scene20-1
「ありがとう。また来てね~」
前田が手を振って振り返ると、見覚えのある黒づくめの男がいた。
「こんにちは」
「あ、古畑さん。並んでくれたんですね」
「はい。たくさん並んでましたねぇ。お疲れ様です」
「いえ、そんな」
「事件についてわかったことがあります。お仕事の後、また会いにいきます」
「そうですか。ありがとうございました」
前田は笑顔をくずさず、古畑に手を振った。
Scene21-1
古畑は、控室から少し離れた廊下で、前田に話を切り出した。
「お疲れのところすみません。少し長くなります。よろしいでしょうか?」
「はい。少しなら」
「ありがとうございます。えー。被害者が無職だったことは先日お伝えしましたね?」
「はい」
「えー。彼はほとんど外に交友関係がありませんでした。しかし、彼の着信履歴に両親以 外にもう一つの電話番号があったんです。しかも、かなりその相手と頻繁に連絡をとって いました」
「それが、私と何の関係があるんですか?」
「んー。はい。実は、その方の顔写真があるんです」
古畑はジャケットの内ポケットから、写真を取り出した。
「えー。見覚えありませんか?」
前田の眼前にかざす。前田の顔色が変わった。
「ご存じのようですね。はい。あなたの事務所の方です」
「そうです。でも、これで何が?」
「まだ、わかりませんか?えー。これはあくまで仮説ですが、今回の事件の被害者はあな
たのストーカーです。彼は何らかの方法であなたのスケジュールをこの写真の男から強請 っていたんです」
「古畑さん」
「はい」
「私を疑ってるんですか?」
「えー。理解が早くて助かります」
Scene21-2
「仮に被害者の方が私のストーカーだとします」
「はい」
「その方が私の事務所のスタッフから、情報を得ていたとします」
「はい」
「どうやって訊き出していたんですか?」
「あー。それは、痛い質問です。…実は、写真の男性、行方不明なんです」
「行方不明?」
「はい」
「それじゃあ、被害者の方が私のストーカーだっていう話も証明できないじゃないですか」
「はい。そうなんです」
と、古畑は笑いだした。前田も白い歯を見せる。
「古畑さん、驚かさないでくださいよ。そこまでわかってるものだと思ってました」
「とんだ買被りです。しかし、まだ犯人についてわかったことがあるんです」
Scene21-3
「前田さん」
「はい?」
「仮に。仮にですよ?あなたが犯人だとして、12時過ぎに人を殺し、死体の処理をし、
凶器や接点を処分して、4時半ごろにマンションを出て、8時の収録に間に合うのは、ほぼ不可能です」
「それが、何か?」
「えー。犯人には協力者がいたということです。しかも、かなりの人数です」
古畑の眼が、控室の方に動いた。ドアは開け放たれ、メンバーがせわしなく出入りして いる。
「メンバーだって言うんですか?」
「はい。私はそう考えています」
「そんな…」
「あぁ。もう、こんな時間だ。えー。明後日また西園寺と伺います。リハーサルに支障が出ないよう、一日かけて一人ずつ取り調べようと思っています」
「そう、ですか」
「はい。それでは失礼します。お疲れのところ大変ありがとうございました」
古畑は丁寧にお辞儀すると、立ちすくす前田に背を向け、颯爽と帰っていった。
―事件から二日後 握手会会場―
「あぁ。おはよう。今泉くん」
「おはようじゃないですよ。古畑さんが遅いから、入れなくなっちゃったじゃないですか」
「入れなくなった?」
「入場制限ですよ」
「入場制限?」
「二万五千人以上入ったから制限されてるんです」
「そんなに入ってるの?すごいんだねぇ。AKBって」
「感心してる場合じゃないですよ」
「握手できないの?」
「握手はできますよ。でも、イベントが…」
「だったらいいじゃないか」
「そんな…」
「そういえば、握手には券みたいなものが必要だって聞いたんだけど」
「握手券…」
「そう。今泉くん持ってる?」
「え?古畑さん持ってないんですか?」
「持ってないよ。だからついてきたんじゃないか」
Scene19-2
「そんな。僕二枚しか持ってないんですよ」
「二枚?十分じゃないか」
「十分じゃないですよ。さしことあっちゃん一回分ですよ」
「さしこって、指原さんだっけ?」
「はい」
「その人が推しなんでしょ?」
「まぁ、はい…」
「君は指原さんにも握手して前田さんにも握手するんでしょ?」
「…はい」
「そんなの指原さんに失礼じゃないか」
「…はい」
「だから君はいつまでも結婚できないんだよ」
「ふっ、古畑さんだって結婚してないじゃないか」
「そうだよ。でも君みたいに色々な女性に目移りはしないよ。ほら」
古畑は今泉に掌を差し出した。
「わ、わかりましたよ」
今泉は渋々と、券を手渡した。
Scene20-1
「ありがとう。また来てね~」
前田が手を振って振り返ると、見覚えのある黒づくめの男がいた。
「こんにちは」
「あ、古畑さん。並んでくれたんですね」
「はい。たくさん並んでましたねぇ。お疲れ様です」
「いえ、そんな」
「事件についてわかったことがあります。お仕事の後、また会いにいきます」
「そうですか。ありがとうございました」
前田は笑顔をくずさず、古畑に手を振った。
Scene21-1
古畑は、控室から少し離れた廊下で、前田に話を切り出した。
「お疲れのところすみません。少し長くなります。よろしいでしょうか?」
「はい。少しなら」
「ありがとうございます。えー。被害者が無職だったことは先日お伝えしましたね?」
「はい」
「えー。彼はほとんど外に交友関係がありませんでした。しかし、彼の着信履歴に両親以 外にもう一つの電話番号があったんです。しかも、かなりその相手と頻繁に連絡をとって いました」
「それが、私と何の関係があるんですか?」
「んー。はい。実は、その方の顔写真があるんです」
古畑はジャケットの内ポケットから、写真を取り出した。
「えー。見覚えありませんか?」
前田の眼前にかざす。前田の顔色が変わった。
「ご存じのようですね。はい。あなたの事務所の方です」
「そうです。でも、これで何が?」
「まだ、わかりませんか?えー。これはあくまで仮説ですが、今回の事件の被害者はあな
たのストーカーです。彼は何らかの方法であなたのスケジュールをこの写真の男から強請 っていたんです」
「古畑さん」
「はい」
「私を疑ってるんですか?」
「えー。理解が早くて助かります」
Scene21-2
「仮に被害者の方が私のストーカーだとします」
「はい」
「その方が私の事務所のスタッフから、情報を得ていたとします」
「はい」
「どうやって訊き出していたんですか?」
「あー。それは、痛い質問です。…実は、写真の男性、行方不明なんです」
「行方不明?」
「はい」
「それじゃあ、被害者の方が私のストーカーだっていう話も証明できないじゃないですか」
「はい。そうなんです」
と、古畑は笑いだした。前田も白い歯を見せる。
「古畑さん、驚かさないでくださいよ。そこまでわかってるものだと思ってました」
「とんだ買被りです。しかし、まだ犯人についてわかったことがあるんです」
Scene21-3
「前田さん」
「はい?」
「仮に。仮にですよ?あなたが犯人だとして、12時過ぎに人を殺し、死体の処理をし、
凶器や接点を処分して、4時半ごろにマンションを出て、8時の収録に間に合うのは、ほぼ不可能です」
「それが、何か?」
「えー。犯人には協力者がいたということです。しかも、かなりの人数です」
古畑の眼が、控室の方に動いた。ドアは開け放たれ、メンバーがせわしなく出入りして いる。
「メンバーだって言うんですか?」
「はい。私はそう考えています」
「そんな…」
「あぁ。もう、こんな時間だ。えー。明後日また西園寺と伺います。リハーサルに支障が出ないよう、一日かけて一人ずつ取り調べようと思っています」
「そう、ですか」
「はい。それでは失礼します。お疲れのところ大変ありがとうございました」
古畑は丁寧にお辞儀すると、立ちすくす前田に背を向け、颯爽と帰っていった。
【小説】古畑任三郎vsAKB48※コピペだけどいいよね(///)その9
2011年10月27日 TCG全般Scene18-1
―喫茶店―
「古畑さん、こっちです」
古畑と西園寺はテレビ局とはす向かいにあるカフェにいた。
「外暑いねぇ」
「今日も最高気温32度だそうです」
「異常だよ。地球も終わりだね」
「何になさいますか?」
店員が古畑に訊く。
「アイスコーヒーちょうだい。君も何か飲めば?」
「ありがとうございます。僕もアイスコーヒーを」
「かしこまりました」
「さっそく報告ですが、被害者の男性は古畑さんの推測した通り、無職でした。親からの
仕送りで生活していたそうです」
Scene18-2
「続けて」
「被害者宅と同様に、携帯電話のメールや着信履歴もすべて削除されていました。しかし、
復元した通話記録をしらべたところ、男性は両親以外にある人物と連絡をとっていることが
わかったそうです」
「誰なの?」
「今、電話番号から特定しています。それと凶器ですが、現場近くの花壇にある、形が同じ
15個の置き石の一つが不自然になくなっていて、打撲痕から見ても、その置き石が凶器と
いう可能性が濃厚です」
「その置き石って、みんな同じ形なんだよね?」
「はい」
「大きさも?」
「はい。おそらく」
「重さも?」
「重さ、ですか?」
「わからないの?」
「はい。確認してみないと」
「あぁ、そう。その凶器もう少し知りたいな。現物が欲しいね」
「わかりました。手配します」
「うん。そういえば今泉は?」
Scene18-3
「今泉さんなら、出待ちしてますよ。ほら、あそこです」
西園寺が指差した先には、テレビ局の入り口で色紙を抱えている今泉がいた。
「ほんとだ。あいつもバカだねぇ。正面から出てくるわけないじゃないか」
古畑は言いながら、紙袋から先程その場にいたメンバー20人が書いたサインを取り出した。
「こうなると48人分欲しくなってくるねぇ」
一枚一枚に目を通しながら古畑が言う。
「はい。次会うときにもお願いしましょうか」
「そうだね。頼んだよ」
「あれ、今泉さん?」
店の入り口に現れた今泉は、残念そうな顔でこちらに近づいてきた。
「さっき警備の人が来て、行っちゃったよって。って、古畑さん!?」
「なに」
「なんですかそれぇー」
「なにって見ればわかるだろ。サインだよ」
Scene18-4
「二人ともいままで会ってたんですか?」
「そうだよ」
「何で僕も連れて行ってくれなかったのさ」
「捜査に行くのを断ったのは今泉さんじゃないですか」
「だってAKBを捜査するとは一言も言ってないじゃないか」
今泉はもう泣きそうだ。
「言ってないよ」
「古畑さん!せめてさしこのサインだけでもください!」
「さしこ?」
「指原莉乃ちゃんですよ」
「前田敦子さんではなかったんですか?」
「あっちゃんも好きだけど推しじゃないんだよ」
「知らないよ。欲しいなら自分でもらいなよ」
「そんな。捜査だからってズルい…。え。待ってください。古畑さん。もしかして彼女た
ちを疑ってるんですか?」
「お前にしては鋭いじゃないか」
「何でですか?彼女たちに何の関係があるっていうんですか?」
Scene18-5
「お前に話すだけ無駄だよ。行こう西園寺君」
古畑は手早く荷物をまとめると、立ちあがった。西園寺も続く。
「はい」
「そんな、ひどいよ。なんでいつも僕だけ…」
「あ、そうだ。今泉くん」
「はい?」
「明日の握手会、行っていいよ」
「え?ほんとですか?」
今泉の顔に明るさが戻る。
「その代わり、僕も連れて行ってくれる?」
「えぇ…」
「嫌なの?」
「い、いえ。大丈夫です」
「じゃあお願いね。あ、それ立て替えておいて」
古畑は席に残されたレシートを指差して言う。
「よろしくお願いします」
「そんなのないよ…」
今泉は今まで古畑が座っていた席に、力なく腰かけた。
―喫茶店―
「古畑さん、こっちです」
古畑と西園寺はテレビ局とはす向かいにあるカフェにいた。
「外暑いねぇ」
「今日も最高気温32度だそうです」
「異常だよ。地球も終わりだね」
「何になさいますか?」
店員が古畑に訊く。
「アイスコーヒーちょうだい。君も何か飲めば?」
「ありがとうございます。僕もアイスコーヒーを」
「かしこまりました」
「さっそく報告ですが、被害者の男性は古畑さんの推測した通り、無職でした。親からの
仕送りで生活していたそうです」
Scene18-2
「続けて」
「被害者宅と同様に、携帯電話のメールや着信履歴もすべて削除されていました。しかし、
復元した通話記録をしらべたところ、男性は両親以外にある人物と連絡をとっていることが
わかったそうです」
「誰なの?」
「今、電話番号から特定しています。それと凶器ですが、現場近くの花壇にある、形が同じ
15個の置き石の一つが不自然になくなっていて、打撲痕から見ても、その置き石が凶器と
いう可能性が濃厚です」
「その置き石って、みんな同じ形なんだよね?」
「はい」
「大きさも?」
「はい。おそらく」
「重さも?」
「重さ、ですか?」
「わからないの?」
「はい。確認してみないと」
「あぁ、そう。その凶器もう少し知りたいな。現物が欲しいね」
「わかりました。手配します」
「うん。そういえば今泉は?」
Scene18-3
「今泉さんなら、出待ちしてますよ。ほら、あそこです」
西園寺が指差した先には、テレビ局の入り口で色紙を抱えている今泉がいた。
「ほんとだ。あいつもバカだねぇ。正面から出てくるわけないじゃないか」
古畑は言いながら、紙袋から先程その場にいたメンバー20人が書いたサインを取り出した。
「こうなると48人分欲しくなってくるねぇ」
一枚一枚に目を通しながら古畑が言う。
「はい。次会うときにもお願いしましょうか」
「そうだね。頼んだよ」
「あれ、今泉さん?」
店の入り口に現れた今泉は、残念そうな顔でこちらに近づいてきた。
「さっき警備の人が来て、行っちゃったよって。って、古畑さん!?」
「なに」
「なんですかそれぇー」
「なにって見ればわかるだろ。サインだよ」
Scene18-4
「二人ともいままで会ってたんですか?」
「そうだよ」
「何で僕も連れて行ってくれなかったのさ」
「捜査に行くのを断ったのは今泉さんじゃないですか」
「だってAKBを捜査するとは一言も言ってないじゃないか」
今泉はもう泣きそうだ。
「言ってないよ」
「古畑さん!せめてさしこのサインだけでもください!」
「さしこ?」
「指原莉乃ちゃんですよ」
「前田敦子さんではなかったんですか?」
「あっちゃんも好きだけど推しじゃないんだよ」
「知らないよ。欲しいなら自分でもらいなよ」
「そんな。捜査だからってズルい…。え。待ってください。古畑さん。もしかして彼女た
ちを疑ってるんですか?」
「お前にしては鋭いじゃないか」
「何でですか?彼女たちに何の関係があるっていうんですか?」
Scene18-5
「お前に話すだけ無駄だよ。行こう西園寺君」
古畑は手早く荷物をまとめると、立ちあがった。西園寺も続く。
「はい」
「そんな、ひどいよ。なんでいつも僕だけ…」
「あ、そうだ。今泉くん」
「はい?」
「明日の握手会、行っていいよ」
「え?ほんとですか?」
今泉の顔に明るさが戻る。
「その代わり、僕も連れて行ってくれる?」
「えぇ…」
「嫌なの?」
「い、いえ。大丈夫です」
「じゃあお願いね。あ、それ立て替えておいて」
古畑は席に残されたレシートを指差して言う。
「よろしくお願いします」
「そんなのないよ…」
今泉は今まで古畑が座っていた席に、力なく腰かけた。
【小説】古畑任三郎vsAKB48※コピペだけどいいよね(///)その8
2011年10月27日 TCG全般Scene16-1
「サイン?」
大島がクッキーで口をもぐもぐさせながら訊き返す。
「えー。すみません。これは捜査とは何の関係もないのですが、私の部下に今泉という男
がいまして、そいつがみなさんのファンなんです」
「あぁ。じゃあ。その方のために?」
「はい」
「優しいんですね。古畑さん」
「いえ。わたしにできることはこのくらいなので。それで…、よろしいでしょうか?」
「はい。全然大丈夫ですよ。ペンもこっちにありますから。じゃあ、みんな色紙もらって」
大島は色紙を受け取ると、鞄からペンを取り出した。大島の号令で、メンバーもペンを手
に、西園寺から色紙を受け取る。
「あ。その、今泉さんでしたっけ」
「はい」
「その方って。誰推しなんですか?」
「え?…ねぇ。西園寺君」
古畑が小声で訊ねる。
「おしってなに?」
「おそらく、応援しているという意味だと思います。てへんにふるとりです」
「あぁ。えー。前田さんです」
「じゃあ、あっちゃんに名前書いてもらいましょうか?」
「あぁ。それは結構です。皆さんのサインだけでいいと言ってました」
「そうですか」
そのとき、古畑の後ろのドアが開き、体格のいい男性が入ってきた。
scene16-2
「何してるんですか?」
「あなたは?」
「劇場支配人の戸賀崎です」
「劇場って秋葉原のですか?」
「そうです。みんなは早く次の現場に行かないと。もう時間ないぞ」
「はーい」
楽屋に古畑が支配していた音が戻り、戸賀崎は古畑に向き直った。
「いくら殺人事件の捜査でも、我々に話を通していただかないと困ります。大事な
時期なんですから」
「大事な時期?なんですか。また総選挙ですか?」
「コンサートです。総選挙は一年に一回です」
「あれ。総選挙って一年に一回なんですか」
「はい」
「参ったなぁ。まだ、前回の総選挙から半年ぐらい経っていると思ってました。えー、こ
の年になると、年度の感覚が早くなってきてしまうんです。あなたもそろそろですよ」
「はぁ」
「それで。あぁ。コンサート。どこでおやりになるんですか?コンサート」
「東京ドームです」
次々と楽屋を出ていくメンバーに道を開けながら、戸賀崎が答える。
「東京ドーム?すごいですねぇ」
「はい。彼女たちの念願なんです。最高のステージにしようと努力してるんです」
「そうでしたか。いつなんですか」
「六日後です」
Scene16-3
「間もなくですね」
「はい。リハーサルで忙しいんですよ。ただでさえ、スケジュールが過密ですから」
「あぁ。大変ですねぇ。ぜひ私も拝見させていただきたいものです。…あれ。あの方たち
はご旅行ですか」
古畑は、周りのメンバーより荷物の多い四人を指して言った。
「いいえ。これから撮影なんです」
「なるほど。何泊ですか?」
「一泊二日だと聞いてますけど」
急な質問に、戸賀崎が怪訝そうに答える。
「それにしては、荷物が多くないですか?」
「そうですか?」
「はい。スポーツバッグ一つですみそうなところ、大島さんなんてキャリーケースですよ?」
「何かかさばるものがあるんじゃないですか?」
「えー。私もそう思います。大島さんは力持ちなんですか?」
「え?」
「いえ。あのキャリーケースを片手で持ちあげていたものですから」
「比較的に筋肉はついているほうだと思いますが」
「そうですか」
「もういいですか。私も仕事があるので」
「大変失礼しました。ご協力ありがとうございます」
古畑は、怪訝な顔のままの戸賀崎に会釈した。
「西園寺君」
「鑑識に問い合わせて、わかったことをまとめておいてくれる?」
「わかりました」
Scene17-1
―東京駅 新幹線ホーム―
「ねぇ、さっしー」
北原里英は隣で携帯電話を打つ指原莉乃に声をかけた。
「何?りえちゃん」
「あの古畑って刑事、異様に鋭くない?」
「思った。半日も経ってないのに被害者がストーカーとかじゃないかって気づいたんだ
よ?」
「そうだよね。これだとあっちゃんとの接点もすぐに見つけそうだし」
「やばいよね。ほかの人は知らないけど、指原、隠し通せる自信ないよ」
「私もだよ。絶対、顔に出ちゃう」
「やっぱ、優子ちゃんはすごいよ。あそこで出ていけるんだから」
「あ。噂をすれば」
ちょうど、大島と横山由依がトイレから帰ってきたところだった。
Scene17-2
「なんですか。噂って」
「いやね。よくあの刑事さんの前で、優子ちゃんが普通にしてられたなぁって」
横山の質問に、北原が答える。
「普通?私めっちゃ緊張してたよ」
「いやいや。めっちゃ普通でしたよ」
「指原がびびりすぎなんだろ」
大島が笑う。しかし、その横で深刻そうな顔の横山が呟くように言った。
「でも、真面目な話、あの刑事相当鋭いですよね」
「でしょ。私目があったら絶対ばれる」
北原が言う。
「大丈夫だよ。話さなきゃいいんだから」
「え?」
「刑事の話はなるべく私が受けるようにするから。だから堂々としてて」
「ありがとうございます」
「よし。この話はこれまで。撮影楽しもう」
大島の言葉に、三人は笑顔を返した。
「サイン?」
大島がクッキーで口をもぐもぐさせながら訊き返す。
「えー。すみません。これは捜査とは何の関係もないのですが、私の部下に今泉という男
がいまして、そいつがみなさんのファンなんです」
「あぁ。じゃあ。その方のために?」
「はい」
「優しいんですね。古畑さん」
「いえ。わたしにできることはこのくらいなので。それで…、よろしいでしょうか?」
「はい。全然大丈夫ですよ。ペンもこっちにありますから。じゃあ、みんな色紙もらって」
大島は色紙を受け取ると、鞄からペンを取り出した。大島の号令で、メンバーもペンを手
に、西園寺から色紙を受け取る。
「あ。その、今泉さんでしたっけ」
「はい」
「その方って。誰推しなんですか?」
「え?…ねぇ。西園寺君」
古畑が小声で訊ねる。
「おしってなに?」
「おそらく、応援しているという意味だと思います。てへんにふるとりです」
「あぁ。えー。前田さんです」
「じゃあ、あっちゃんに名前書いてもらいましょうか?」
「あぁ。それは結構です。皆さんのサインだけでいいと言ってました」
「そうですか」
そのとき、古畑の後ろのドアが開き、体格のいい男性が入ってきた。
scene16-2
「何してるんですか?」
「あなたは?」
「劇場支配人の戸賀崎です」
「劇場って秋葉原のですか?」
「そうです。みんなは早く次の現場に行かないと。もう時間ないぞ」
「はーい」
楽屋に古畑が支配していた音が戻り、戸賀崎は古畑に向き直った。
「いくら殺人事件の捜査でも、我々に話を通していただかないと困ります。大事な
時期なんですから」
「大事な時期?なんですか。また総選挙ですか?」
「コンサートです。総選挙は一年に一回です」
「あれ。総選挙って一年に一回なんですか」
「はい」
「参ったなぁ。まだ、前回の総選挙から半年ぐらい経っていると思ってました。えー、こ
の年になると、年度の感覚が早くなってきてしまうんです。あなたもそろそろですよ」
「はぁ」
「それで。あぁ。コンサート。どこでおやりになるんですか?コンサート」
「東京ドームです」
次々と楽屋を出ていくメンバーに道を開けながら、戸賀崎が答える。
「東京ドーム?すごいですねぇ」
「はい。彼女たちの念願なんです。最高のステージにしようと努力してるんです」
「そうでしたか。いつなんですか」
「六日後です」
Scene16-3
「間もなくですね」
「はい。リハーサルで忙しいんですよ。ただでさえ、スケジュールが過密ですから」
「あぁ。大変ですねぇ。ぜひ私も拝見させていただきたいものです。…あれ。あの方たち
はご旅行ですか」
古畑は、周りのメンバーより荷物の多い四人を指して言った。
「いいえ。これから撮影なんです」
「なるほど。何泊ですか?」
「一泊二日だと聞いてますけど」
急な質問に、戸賀崎が怪訝そうに答える。
「それにしては、荷物が多くないですか?」
「そうですか?」
「はい。スポーツバッグ一つですみそうなところ、大島さんなんてキャリーケースですよ?」
「何かかさばるものがあるんじゃないですか?」
「えー。私もそう思います。大島さんは力持ちなんですか?」
「え?」
「いえ。あのキャリーケースを片手で持ちあげていたものですから」
「比較的に筋肉はついているほうだと思いますが」
「そうですか」
「もういいですか。私も仕事があるので」
「大変失礼しました。ご協力ありがとうございます」
古畑は、怪訝な顔のままの戸賀崎に会釈した。
「西園寺君」
「鑑識に問い合わせて、わかったことをまとめておいてくれる?」
「わかりました」
Scene17-1
―東京駅 新幹線ホーム―
「ねぇ、さっしー」
北原里英は隣で携帯電話を打つ指原莉乃に声をかけた。
「何?りえちゃん」
「あの古畑って刑事、異様に鋭くない?」
「思った。半日も経ってないのに被害者がストーカーとかじゃないかって気づいたんだ
よ?」
「そうだよね。これだとあっちゃんとの接点もすぐに見つけそうだし」
「やばいよね。ほかの人は知らないけど、指原、隠し通せる自信ないよ」
「私もだよ。絶対、顔に出ちゃう」
「やっぱ、優子ちゃんはすごいよ。あそこで出ていけるんだから」
「あ。噂をすれば」
ちょうど、大島と横山由依がトイレから帰ってきたところだった。
Scene17-2
「なんですか。噂って」
「いやね。よくあの刑事さんの前で、優子ちゃんが普通にしてられたなぁって」
横山の質問に、北原が答える。
「普通?私めっちゃ緊張してたよ」
「いやいや。めっちゃ普通でしたよ」
「指原がびびりすぎなんだろ」
大島が笑う。しかし、その横で深刻そうな顔の横山が呟くように言った。
「でも、真面目な話、あの刑事相当鋭いですよね」
「でしょ。私目があったら絶対ばれる」
北原が言う。
「大丈夫だよ。話さなきゃいいんだから」
「え?」
「刑事の話はなるべく私が受けるようにするから。だから堂々としてて」
「ありがとうございます」
「よし。この話はこれまで。撮影楽しもう」
大島の言葉に、三人は笑顔を返した。
【小説】古畑任三郎vsAKB48※コピペだけどいいよね(///)その7
2011年10月27日 TCG全般Scene15-1
「どうも、警視庁の古畑と申します」
「同じく、西園寺です」
「このなかに前田敦子さんはいらっしゃいますか?」
警視庁。緊張と衝撃が走る。前田は脇にいた篠田に視線を飛ばした。篠田は軽く頷いた。
「…はい」
「あなたが前田さん。先日の総選挙、おめでとうございます」
「あ、ありがとうございます」
「あと…、これ、差し入れです」
古畑は、西園寺の提げていた二つの紙袋のうち、一つを前田に渡した。大島が前田から
受け取る。大島は中身を覗いた。
「やった。クッキーだ」
「えー。お気に召しましたでしょうか?」
「はい。甘いものはみんな大好きなので。ね?」
周りのメンバーも頷く。
「それはよかったです。えー。突然、おしかけてすみません。今日は捜査に協力していた
だきたくて、私たち参りました。前田さん。今朝、あなたの自宅マンションの近くで男性
の死体が発見されました。ご存知ですか?」
Scene15-2
「パトカーが止まっているのなら見ました」
「それだけですか?」
「はい。急いでいたので」
「そうですか。えー。それで、昨夜の事件についていくつか訊きたいことがあります。よ
ろしいですか?」
「事件?事故じゃないんですか?」
「あれ。よくご存じですね」
「見物してた人たちが言ってるのを聞いたんです」
「急いでいたのに?」
「はい。耳はいいんです。それに、気になりましたから」
「結構です。えー。昨夜、不審な人物を見たり、物音を聞いたりしていませんか?」
「いいえ」
「そうですか。西園寺君メモした?」
「はい」
「あの。なんで事件になったんですか?男の人が倒れてるだけって聞きましたよ」
前田はあえて質問した。
「んー。知りたいですか?」
「はい」
Scene15-3
「…いいでしょう。えー。前田さん以外は出ていただいても結構ですよ?」
前田の後ろですっかり黙っているメンバーに古畑が提案する。篠田が首を振った。
「いえ、私たちも聴きます」
「わかりました。まず、私が気になったのは、被害者の服装です。みなさん、昨日の東京
の最高気温覚えてますか?…では、そこの方」
古畑が振ったのは大島だ。
「私?」
「そうです。お名前は?」
「大島優子です」
「大島さん、昨日の最高気温教えてください」
「32度、だったかな?」
「えー、正解です」
「やったぁ」
大島は無邪気に拳を握り、差し入れのクッキーに手を伸ばした。
「はい。昨日はとても暑かったんです。しかし、被害者の男性は黒のジーンズに、綿の入
った黒のジャンパーを着ていました。皆さんは、最高気温が32度の日にこんな恰好をし
ている人を見たことがありますか?」
近くのメンバーに古畑が話を振る。板野は首を横に振った。
「あなたは?」
「ありません」
峯岸は声に出した。
「大島さん、あなたは?」
大島は考える顔をしてから、冗談めかして言った。
Scene15-4
「私、見たことあります。まあ、スーパーの冷凍庫の前でですけど」
古畑は笑った。
「なるほど。それはあるかもしれません。しかし、まだ、気になる点はあります。えー。
彼の遺留品に鍵がなかったことです」
「見つかったんですか?」
大島が訊く。
「はい。彼の自宅にありました」
「じゃあ、家に忘れていったんじゃないですか?」
と、大島。
「あー。私も初めはそう思いました。しかし、鍵をかけ忘れることはあっても、鍵を家に
忘れる人はなかなかいません」
「それが事件と何の関係があるんですか?」
前田が訊く。
「えー。服装の話もひっくるめて話させていただいてよろしいですか?」
「どうぞ」
Scene15-5
「ありがとうございます。あくまで仮説ですが、私は、こういう風に考えています。えー、
さっきも説明しました通り、被害者は全身黒ずくめでした。彼の死亡推定時刻は深夜12時
過ぎです。その時間帯、前田さんもご存じでしょうが、あそこの通りは街灯の明かりだけで、
真っ暗なんだそうです。そこにあの黒ずくめの格好でいれば、ほとんど気づかれません」
「それって…」
「そうです。つまり、彼は公園で誰かを待ち伏せしていたのではないでしょうか。そして、
彼はターゲットに接触はできました。しかし、ターゲットは彼の予想を超えて暴れん坊でした。
挙句の果てに、彼はターゲットに殺されてしまいました。犯人になったターゲットは自分が狙
われていたことを隠すために、つまり自分が犯人であることを隠すために、自分との接点を消
し去ろうとしました。そして、思いつきます。犯人は被害者の鍵を奪い、被害者の自宅にある、
自分との接点を処分しにいきました。そして、成功しました」
「想像力が豊かなんですね。古畑さんって」
前田が言う。
「それはお褒めの言葉として受け取っておきます。私の話は以上です。みなさんご協力ありがと
うございました。あ、そうだ。西園寺君」
「はい」
「あれを書いてもらって」
「すみません。ここにいるみなさんのサインを頂けますか?」
「どうも、警視庁の古畑と申します」
「同じく、西園寺です」
「このなかに前田敦子さんはいらっしゃいますか?」
警視庁。緊張と衝撃が走る。前田は脇にいた篠田に視線を飛ばした。篠田は軽く頷いた。
「…はい」
「あなたが前田さん。先日の総選挙、おめでとうございます」
「あ、ありがとうございます」
「あと…、これ、差し入れです」
古畑は、西園寺の提げていた二つの紙袋のうち、一つを前田に渡した。大島が前田から
受け取る。大島は中身を覗いた。
「やった。クッキーだ」
「えー。お気に召しましたでしょうか?」
「はい。甘いものはみんな大好きなので。ね?」
周りのメンバーも頷く。
「それはよかったです。えー。突然、おしかけてすみません。今日は捜査に協力していた
だきたくて、私たち参りました。前田さん。今朝、あなたの自宅マンションの近くで男性
の死体が発見されました。ご存知ですか?」
Scene15-2
「パトカーが止まっているのなら見ました」
「それだけですか?」
「はい。急いでいたので」
「そうですか。えー。それで、昨夜の事件についていくつか訊きたいことがあります。よ
ろしいですか?」
「事件?事故じゃないんですか?」
「あれ。よくご存じですね」
「見物してた人たちが言ってるのを聞いたんです」
「急いでいたのに?」
「はい。耳はいいんです。それに、気になりましたから」
「結構です。えー。昨夜、不審な人物を見たり、物音を聞いたりしていませんか?」
「いいえ」
「そうですか。西園寺君メモした?」
「はい」
「あの。なんで事件になったんですか?男の人が倒れてるだけって聞きましたよ」
前田はあえて質問した。
「んー。知りたいですか?」
「はい」
Scene15-3
「…いいでしょう。えー。前田さん以外は出ていただいても結構ですよ?」
前田の後ろですっかり黙っているメンバーに古畑が提案する。篠田が首を振った。
「いえ、私たちも聴きます」
「わかりました。まず、私が気になったのは、被害者の服装です。みなさん、昨日の東京
の最高気温覚えてますか?…では、そこの方」
古畑が振ったのは大島だ。
「私?」
「そうです。お名前は?」
「大島優子です」
「大島さん、昨日の最高気温教えてください」
「32度、だったかな?」
「えー、正解です」
「やったぁ」
大島は無邪気に拳を握り、差し入れのクッキーに手を伸ばした。
「はい。昨日はとても暑かったんです。しかし、被害者の男性は黒のジーンズに、綿の入
った黒のジャンパーを着ていました。皆さんは、最高気温が32度の日にこんな恰好をし
ている人を見たことがありますか?」
近くのメンバーに古畑が話を振る。板野は首を横に振った。
「あなたは?」
「ありません」
峯岸は声に出した。
「大島さん、あなたは?」
大島は考える顔をしてから、冗談めかして言った。
Scene15-4
「私、見たことあります。まあ、スーパーの冷凍庫の前でですけど」
古畑は笑った。
「なるほど。それはあるかもしれません。しかし、まだ、気になる点はあります。えー。
彼の遺留品に鍵がなかったことです」
「見つかったんですか?」
大島が訊く。
「はい。彼の自宅にありました」
「じゃあ、家に忘れていったんじゃないですか?」
と、大島。
「あー。私も初めはそう思いました。しかし、鍵をかけ忘れることはあっても、鍵を家に
忘れる人はなかなかいません」
「それが事件と何の関係があるんですか?」
前田が訊く。
「えー。服装の話もひっくるめて話させていただいてよろしいですか?」
「どうぞ」
Scene15-5
「ありがとうございます。あくまで仮説ですが、私は、こういう風に考えています。えー、
さっきも説明しました通り、被害者は全身黒ずくめでした。彼の死亡推定時刻は深夜12時
過ぎです。その時間帯、前田さんもご存じでしょうが、あそこの通りは街灯の明かりだけで、
真っ暗なんだそうです。そこにあの黒ずくめの格好でいれば、ほとんど気づかれません」
「それって…」
「そうです。つまり、彼は公園で誰かを待ち伏せしていたのではないでしょうか。そして、
彼はターゲットに接触はできました。しかし、ターゲットは彼の予想を超えて暴れん坊でした。
挙句の果てに、彼はターゲットに殺されてしまいました。犯人になったターゲットは自分が狙
われていたことを隠すために、つまり自分が犯人であることを隠すために、自分との接点を消
し去ろうとしました。そして、思いつきます。犯人は被害者の鍵を奪い、被害者の自宅にある、
自分との接点を処分しにいきました。そして、成功しました」
「想像力が豊かなんですね。古畑さんって」
前田が言う。
「それはお褒めの言葉として受け取っておきます。私の話は以上です。みなさんご協力ありがと
うございました。あ、そうだ。西園寺君」
「はい」
「あれを書いてもらって」
「すみません。ここにいるみなさんのサインを頂けますか?」
【小説】古畑任三郎vsAKB48※コピペだけどいいよね(///)その6
2011年10月27日 TCG全般Scene12
20分ほどして、今泉は帰ってきた。
「遅いよ」
「随分時間かかりましたね」
古畑と西園寺が口々に言うが、今泉の表情はなぜか満足げだ。
「どうかしたんですか。そんな顔して」
「いやぁ。あっちゃん見れたんだよ。かわいかったなぁ」
「だからこんなに時間かかったの?」
「そうですよ」
「なに。5分くらいで買って、15分見張ってたの?」
今泉が頷く。古畑はあきれたようにため息をついた。
「いいじゃないですか。ついでなんですし」
今泉が、古畑の批判的な目から避けるように言う
「普通、時間をかけなかった方をついでと言うんですよ。ですから、今泉さんの場合、ついではパンの方です」
「西園寺君も細かいことはいいじゃないか」
古畑は少し目を伏せてから、手を差し出した。
「パンは?」
「あっ。はい。どうぞ」
古畑は今泉の手からパンを奪い取ると、素早く包みを開け、中のあんパンをちぎって口に入れた。
―同日 午前7時過ぎ テレビ局 楽屋―
「おはよ~」
前田は楽屋に入ると、篠田の隣に座った。
「どうだった敦子?」
「それ関係の車は止まってたけど、まだ人は来てないよ」
「いくら早くても明日か明後日でしょ」
「今誰が知ってるの?」
「昨日いた7人と、みぃちゃんとなっちゃんと佐江。あとNot yetの三人かな」
「ゆきりんは?」
「まだ言ってない」
「ゆきりんは大丈夫だと思う。キャプテンで全体のこと考えてるし、それなのに教えて
もらえなかったら拗ねそうだし」
「敦子が言うならそうしよう」
「にゃんにゃんあたりに話してもらおう。現実味でそう」
「そうだね」
「石は?」
「Not yetがこの番組収録のあと撮影に直行だから、今日中に処理できるよ」
「あとは…。あっ。男の自宅は?」
「才加とともが朝のうちに行ってきた。やっぱり大量にあったみたいだよ」
「おはよ」
篠田の険しい顔の後ろから、板野が顔を出した。
「あ、おはよう」
二人が口をそろえる。
前田が続いて訊く。
「それで、処分できた?」
「写真はね。ただ、パソコンが問題かな。パソコンって削除しても復元されちゃうってい
うでしょ」
「それ、聞いたことある」
前田が頷く。
「だから、才加が持って帰って処分することになった」
「ごめんね」
「ううん。なるべく分散させたほうがいいと思うし」
「そうだね」
篠田は同意を示してから続けた。
「ほかは大丈夫だよね。携帯のSDカードは処分したし、メールもチェックしたしね。あ
とは…」
「そうだ。スケジュール帳は?」
板野が訊く。
「今はみぃちゃんが持ってるけど、今日中には処分するって言ってた」
前田が答える。篠田が顔をしかめた。
「ほとんど完璧に書いてあったよね。スケジュール」
「うん…」
「そうなんだ。…でもそれって流した奴がいるってことでしょ?」
「間もなく時間でーす」
スタッフから声がかかる。
「この話はまたあとで。収録がんばろっか」
「うん。またね」
Scene14
篠田から話を聞いた小嶋は、収録が終わってすぐに柏木を呼びとめた。
「かしわげちゃん」
「はい」
「ちょっと話があるの。大事な話。歩きながらでいいから聴いてくれる?」
「はい…」
小嶋の話が終わると、柏木は迷いのある表情で小嶋を見た。小嶋の目はいつになく本気
だ。
「ほんとなんですね」
「うん」
「たかみなさんが…。正当防衛とかにはならないんですか?」
「なったとしても、コンサートの自粛は避けられないと思う。お願い。ゆきりんの協力が
必要なの」
柏木は少し間を置いてから、力強く頷いた。
「はい。わかりました」
ちょうど話が楽屋の前で終わり、二人はいつもの雰囲気で楽屋に入ったが、その足はド
アを開けたまま止まった。楽屋には華やかな衣装に混じって、黒いスーツの男と小男が立っていた。
20分ほどして、今泉は帰ってきた。
「遅いよ」
「随分時間かかりましたね」
古畑と西園寺が口々に言うが、今泉の表情はなぜか満足げだ。
「どうかしたんですか。そんな顔して」
「いやぁ。あっちゃん見れたんだよ。かわいかったなぁ」
「だからこんなに時間かかったの?」
「そうですよ」
「なに。5分くらいで買って、15分見張ってたの?」
今泉が頷く。古畑はあきれたようにため息をついた。
「いいじゃないですか。ついでなんですし」
今泉が、古畑の批判的な目から避けるように言う
「普通、時間をかけなかった方をついでと言うんですよ。ですから、今泉さんの場合、ついではパンの方です」
「西園寺君も細かいことはいいじゃないか」
古畑は少し目を伏せてから、手を差し出した。
「パンは?」
「あっ。はい。どうぞ」
古畑は今泉の手からパンを奪い取ると、素早く包みを開け、中のあんパンをちぎって口に入れた。
―同日 午前7時過ぎ テレビ局 楽屋―
「おはよ~」
前田は楽屋に入ると、篠田の隣に座った。
「どうだった敦子?」
「それ関係の車は止まってたけど、まだ人は来てないよ」
「いくら早くても明日か明後日でしょ」
「今誰が知ってるの?」
「昨日いた7人と、みぃちゃんとなっちゃんと佐江。あとNot yetの三人かな」
「ゆきりんは?」
「まだ言ってない」
「ゆきりんは大丈夫だと思う。キャプテンで全体のこと考えてるし、それなのに教えて
もらえなかったら拗ねそうだし」
「敦子が言うならそうしよう」
「にゃんにゃんあたりに話してもらおう。現実味でそう」
「そうだね」
「石は?」
「Not yetがこの番組収録のあと撮影に直行だから、今日中に処理できるよ」
「あとは…。あっ。男の自宅は?」
「才加とともが朝のうちに行ってきた。やっぱり大量にあったみたいだよ」
「おはよ」
篠田の険しい顔の後ろから、板野が顔を出した。
「あ、おはよう」
二人が口をそろえる。
前田が続いて訊く。
「それで、処分できた?」
「写真はね。ただ、パソコンが問題かな。パソコンって削除しても復元されちゃうってい
うでしょ」
「それ、聞いたことある」
前田が頷く。
「だから、才加が持って帰って処分することになった」
「ごめんね」
「ううん。なるべく分散させたほうがいいと思うし」
「そうだね」
篠田は同意を示してから続けた。
「ほかは大丈夫だよね。携帯のSDカードは処分したし、メールもチェックしたしね。あ
とは…」
「そうだ。スケジュール帳は?」
板野が訊く。
「今はみぃちゃんが持ってるけど、今日中には処分するって言ってた」
前田が答える。篠田が顔をしかめた。
「ほとんど完璧に書いてあったよね。スケジュール」
「うん…」
「そうなんだ。…でもそれって流した奴がいるってことでしょ?」
「間もなく時間でーす」
スタッフから声がかかる。
「この話はまたあとで。収録がんばろっか」
「うん。またね」
Scene14
篠田から話を聞いた小嶋は、収録が終わってすぐに柏木を呼びとめた。
「かしわげちゃん」
「はい」
「ちょっと話があるの。大事な話。歩きながらでいいから聴いてくれる?」
「はい…」
小嶋の話が終わると、柏木は迷いのある表情で小嶋を見た。小嶋の目はいつになく本気
だ。
「ほんとなんですね」
「うん」
「たかみなさんが…。正当防衛とかにはならないんですか?」
「なったとしても、コンサートの自粛は避けられないと思う。お願い。ゆきりんの協力が
必要なの」
柏木は少し間を置いてから、力強く頷いた。
「はい。わかりました」
ちょうど話が楽屋の前で終わり、二人はいつもの雰囲気で楽屋に入ったが、その足はド
アを開けたまま止まった。楽屋には華やかな衣装に混じって、黒いスーツの男と小男が立っていた。
【小説】古畑任三郎vsAKB48※コピペだけどいいよね(///)その5
2011年10月27日 TCG全般Scene11-2
「はい」
鑑識官が足を止める。
「ちょっとここに下ろして。カバー外して」
「ねぇ。古畑さん。僕の話聞いてます?」
「古畑さんどうかしましたか?」
今泉を手で制し、西園寺が訊く。
「ん~。何でこんな格好なんだろうね?」
「服装ですか?」
男は黒のジーンズとジャンパーに身を包んでいる。
「だってもう7月だよ。昨日暑かったよね?」
「はい。最高気温32度でした」
「だよね。それにしては厚着だと思わない?」
「確かに。言われてみればそうですね」
「まして黒なんて暑くてしかたないよね?」
「古畑さんだって黒づくめじゃないか」
今泉が口をはさむ。古畑がいかにも不愉快そうに今泉の方を見た。
「今泉さんちょっと黙っててください」
「ほんとだよ」
「なんで君に言われなきゃなんないのさ」
西園寺に噛み付く今泉を再び無視した古畑の目が、一点で止まった。
Scene11-3
「あれ。これなんだろうね」
男の着たジャンパーの肩口から、白い繊維のようなものが飛び出している。
「ちょっとひっくり返してみて」
「はい」
そばに控えていた鑑識官が、仰向けだった死体の体勢をうつ伏せに変える。繊維の正体は、ジャンパーの穴から飛び出た中綿だった。綿は肩口から飛び出している。
「随分大きい穴だね」
「そうですね」
「滑り落ちるときに木にでもひっかけたんじゃないの?」
と、今泉。
「でも木はあるけど枝はあんなに高い所にあるんだよ」
古畑が宙を仰ぐ。
「ねぇ。ちょっと」
今泉が西園寺の耳元に話しかける。
「ねぇ。古畑さんはまた事件にしようとしてるの?」
「まだ確定したわけではないみたいですが、気になってはいるみたいですね」
「ねぇ。事故でいいじゃない。今度の休みに握手会に行くんだよ。行けなくなっちゃうよ」
「西園寺君」
古畑が呼ぶ。
「はい」
「もう…」
Scene11-4
そのとき、鑑識官の持っていた携帯電話が鳴り出した。電子音ではなく、メロディが流れた。
「待って。そのままにして。貸して」
切ろうとした鑑識官を止めて、古畑が携帯を取り上げた。
「これ誰の携帯?」
「遺留品です」
そこで携帯の音楽が切れた。
「あれ。切れちゃったよ。今の曲わかる?」
「わかりません」
急に今泉が元気な顔になって手を上げた。
「僕知ってます。あっちゃんのソロデビューシングルのカップリング曲だよ」
「あっちゃん?」
「前田敦子さんの愛称です」
「あぁ。…これ、誰から掛かってきたんだろうね」
と、古畑は携帯を開いた。
「なんだ、アラームだよ」
「それにしても早い時間ですね」
「仕事のアラームじゃないみたいだね」
「何で?」
「この時間に仕事のある人がこの時間までこの格好で外出していないでしょう。結局、どちらでしょう?事件か、事故か」
Scene11-5
「事件でいいんじゃない。気になることが多すぎるよ。…にしても、お腹減ってきちゃったな」
「時間経ちましたからね」
「今泉、パン買ってきて」
「えぇ。僕ですか。西園寺君でいいじゃないですか」
「いいから買ってきてよ。お腹が減り過ぎて痛いんだよ」
「わ、わかりました」
「あ。僕のもお願いします」
「なんで君のまで買ってこなくちゃならないの」
「いいじゃないですか。ついでですし」
「そうだよ。買ってきてあげなよ」
「わ、わかりましたよ」
今泉は渋々頷くと、テープをくぐっていった。
「はい」
鑑識官が足を止める。
「ちょっとここに下ろして。カバー外して」
「ねぇ。古畑さん。僕の話聞いてます?」
「古畑さんどうかしましたか?」
今泉を手で制し、西園寺が訊く。
「ん~。何でこんな格好なんだろうね?」
「服装ですか?」
男は黒のジーンズとジャンパーに身を包んでいる。
「だってもう7月だよ。昨日暑かったよね?」
「はい。最高気温32度でした」
「だよね。それにしては厚着だと思わない?」
「確かに。言われてみればそうですね」
「まして黒なんて暑くてしかたないよね?」
「古畑さんだって黒づくめじゃないか」
今泉が口をはさむ。古畑がいかにも不愉快そうに今泉の方を見た。
「今泉さんちょっと黙っててください」
「ほんとだよ」
「なんで君に言われなきゃなんないのさ」
西園寺に噛み付く今泉を再び無視した古畑の目が、一点で止まった。
Scene11-3
「あれ。これなんだろうね」
男の着たジャンパーの肩口から、白い繊維のようなものが飛び出している。
「ちょっとひっくり返してみて」
「はい」
そばに控えていた鑑識官が、仰向けだった死体の体勢をうつ伏せに変える。繊維の正体は、ジャンパーの穴から飛び出た中綿だった。綿は肩口から飛び出している。
「随分大きい穴だね」
「そうですね」
「滑り落ちるときに木にでもひっかけたんじゃないの?」
と、今泉。
「でも木はあるけど枝はあんなに高い所にあるんだよ」
古畑が宙を仰ぐ。
「ねぇ。ちょっと」
今泉が西園寺の耳元に話しかける。
「ねぇ。古畑さんはまた事件にしようとしてるの?」
「まだ確定したわけではないみたいですが、気になってはいるみたいですね」
「ねぇ。事故でいいじゃない。今度の休みに握手会に行くんだよ。行けなくなっちゃうよ」
「西園寺君」
古畑が呼ぶ。
「はい」
「もう…」
Scene11-4
そのとき、鑑識官の持っていた携帯電話が鳴り出した。電子音ではなく、メロディが流れた。
「待って。そのままにして。貸して」
切ろうとした鑑識官を止めて、古畑が携帯を取り上げた。
「これ誰の携帯?」
「遺留品です」
そこで携帯の音楽が切れた。
「あれ。切れちゃったよ。今の曲わかる?」
「わかりません」
急に今泉が元気な顔になって手を上げた。
「僕知ってます。あっちゃんのソロデビューシングルのカップリング曲だよ」
「あっちゃん?」
「前田敦子さんの愛称です」
「あぁ。…これ、誰から掛かってきたんだろうね」
と、古畑は携帯を開いた。
「なんだ、アラームだよ」
「それにしても早い時間ですね」
「仕事のアラームじゃないみたいだね」
「何で?」
「この時間に仕事のある人がこの時間までこの格好で外出していないでしょう。結局、どちらでしょう?事件か、事故か」
Scene11-5
「事件でいいんじゃない。気になることが多すぎるよ。…にしても、お腹減ってきちゃったな」
「時間経ちましたからね」
「今泉、パン買ってきて」
「えぇ。僕ですか。西園寺君でいいじゃないですか」
「いいから買ってきてよ。お腹が減り過ぎて痛いんだよ」
「わ、わかりました」
「あ。僕のもお願いします」
「なんで君のまで買ってこなくちゃならないの」
「いいじゃないですか。ついでですし」
「そうだよ。買ってきてあげなよ」
「わ、わかりましたよ」
今泉は渋々頷くと、テープをくぐっていった。
【小説】古畑任三郎vsAKB48※コピペだけどいいよね(///)その4
2011年10月27日 TCG全般Scene10-1
―翌日 公園―
サイレンがまだ薄暗い住宅街に響く。テープで仕切られた向こうから、一人の男がセリーヌブランドの自転車に乗って現れた。
男はひとしきり鈴を鳴らすと、ブレーキを握り、とめた自転車をチェーンでテープにくくりつけた。
「古畑さん。お疲れ様です」
パトカーの間から一人の小男が現れた。古畑は小男に手を振ると、ゆっくりとテープをくぐった。
「あぁ、西園寺君。困るよ。今何時だと思ってんの」
「4時8分です」
「そうでしょ。まだ暗いじゃない。眠くて仕方ないよ」
と、古畑は大きな欠伸をした。
「それで、事件と事故どっちなの?」
「現場の状況からだと、事故だと思われます」
二人は死体発見現場に向かって歩を進める。
「被害者の身元は?」
「まだ特定できていません」
「なんで?」
「身分を証明するものは持っていませんでした」
「持ってない?」
「はい。今、携帯電話から個人データを照会しています」
「続けて」
「被害者はここの土手から滑り落ちて、あの石に頭を強打したみたいです」
西園寺が土手と石を、順に指差して説明する。
「ふうん」
「通報者の話は聞きますか?」
「いいよ。事故なんでしょ。帰るよ。眠いんだから。それよりこの時間に通報者がいたことにびっくりだよ」
古畑は大きく欠伸をした。
Scene10-2
「ランニングが早朝の日課だというお年寄りが発見されたそうです」
「えぇ。早朝にもほどがあるよ。体内時計がおかしくなっちゃってるんだよ」
「しかし、早期に発見できたのは、その方のおかげです」
「まぁ、そうだけどさ。…あいつは何やってんの?」
古畑は親指を立てて後ろを指した。その先では一人の男がテープのなかから、
野次馬の向こうを見ようと背筋を伸ばしている。どう見ても、傍目からは挙動不審だ。
「今泉さんですか。向かいのマンションに有名人の方がすんでいるそうで、その方が現れるのを待っているみたいです」
「それって誰?」
「前田敦子さんです」
Scene10-3
「あれ。なんか聞いたことあるね。なんだっけ、あのえー、えー、えー…」
「AKB48」
「言っちゃだめだよ。もう少しで出そうだったのに」
「すみません」
「それで、なんだっけ。えー…」
「AKB48」
「そうそう。前田敦子って総選挙1位だった娘だよね」
「そうです。よくご存じですね」
「ニュースで見たんだよ」
「そうでしたか。今泉さんは彼女のファンだそうです」
「知ったこっちゃないよ。今は職務中なんだよ。西園寺君、引っ張ってきて」
「わかりました」
西園寺ははきはきと答えると、踵を返し今泉に近づいていった。
Scene11-1
しばらくすると、西園寺が今泉の腕をしっかり押さえ、文字通り引っ張ってきた。
「ねぇ。離してよ西園寺君。事故なんでしょ。鑑識に任せればいいじゃない。こんなことしてる間にあっちゃんが行っちゃったらどうするの?」
「古畑さん。連れてきました」
抗議する今泉を無視して西園寺が言う。
「ご苦労様。…今泉!」
「はいっ!」
古畑は小気味よく今泉の額をはたいた。
「いたい」
「なにやってんだよ、お前は」
古畑の叱責に、今泉が弁明を始めた。
「だって、こんな機会めったにないんですよ。アイド…」
「ちょっと待って」
ふと、傍らを過ぎようとした担架に古畑が反応した。
―翌日 公園―
サイレンがまだ薄暗い住宅街に響く。テープで仕切られた向こうから、一人の男がセリーヌブランドの自転車に乗って現れた。
男はひとしきり鈴を鳴らすと、ブレーキを握り、とめた自転車をチェーンでテープにくくりつけた。
「古畑さん。お疲れ様です」
パトカーの間から一人の小男が現れた。古畑は小男に手を振ると、ゆっくりとテープをくぐった。
「あぁ、西園寺君。困るよ。今何時だと思ってんの」
「4時8分です」
「そうでしょ。まだ暗いじゃない。眠くて仕方ないよ」
と、古畑は大きな欠伸をした。
「それで、事件と事故どっちなの?」
「現場の状況からだと、事故だと思われます」
二人は死体発見現場に向かって歩を進める。
「被害者の身元は?」
「まだ特定できていません」
「なんで?」
「身分を証明するものは持っていませんでした」
「持ってない?」
「はい。今、携帯電話から個人データを照会しています」
「続けて」
「被害者はここの土手から滑り落ちて、あの石に頭を強打したみたいです」
西園寺が土手と石を、順に指差して説明する。
「ふうん」
「通報者の話は聞きますか?」
「いいよ。事故なんでしょ。帰るよ。眠いんだから。それよりこの時間に通報者がいたことにびっくりだよ」
古畑は大きく欠伸をした。
Scene10-2
「ランニングが早朝の日課だというお年寄りが発見されたそうです」
「えぇ。早朝にもほどがあるよ。体内時計がおかしくなっちゃってるんだよ」
「しかし、早期に発見できたのは、その方のおかげです」
「まぁ、そうだけどさ。…あいつは何やってんの?」
古畑は親指を立てて後ろを指した。その先では一人の男がテープのなかから、
野次馬の向こうを見ようと背筋を伸ばしている。どう見ても、傍目からは挙動不審だ。
「今泉さんですか。向かいのマンションに有名人の方がすんでいるそうで、その方が現れるのを待っているみたいです」
「それって誰?」
「前田敦子さんです」
Scene10-3
「あれ。なんか聞いたことあるね。なんだっけ、あのえー、えー、えー…」
「AKB48」
「言っちゃだめだよ。もう少しで出そうだったのに」
「すみません」
「それで、なんだっけ。えー…」
「AKB48」
「そうそう。前田敦子って総選挙1位だった娘だよね」
「そうです。よくご存じですね」
「ニュースで見たんだよ」
「そうでしたか。今泉さんは彼女のファンだそうです」
「知ったこっちゃないよ。今は職務中なんだよ。西園寺君、引っ張ってきて」
「わかりました」
西園寺ははきはきと答えると、踵を返し今泉に近づいていった。
Scene11-1
しばらくすると、西園寺が今泉の腕をしっかり押さえ、文字通り引っ張ってきた。
「ねぇ。離してよ西園寺君。事故なんでしょ。鑑識に任せればいいじゃない。こんなことしてる間にあっちゃんが行っちゃったらどうするの?」
「古畑さん。連れてきました」
抗議する今泉を無視して西園寺が言う。
「ご苦労様。…今泉!」
「はいっ!」
古畑は小気味よく今泉の額をはたいた。
「いたい」
「なにやってんだよ、お前は」
古畑の叱責に、今泉が弁明を始めた。
「だって、こんな機会めったにないんですよ。アイド…」
「ちょっと待って」
ふと、傍らを過ぎようとした担架に古畑が反応した。
【小説】古畑任三郎vsAKB48※コピペだけどいいよね(///)その3
2011年10月27日 TCG全般Scene8-1
死体を隠してから、二人は前田のマンションで沈黙のまま篠田を待った。どのくらい経ったか定かではないが、
長い時が過ぎた。
インターホンが鳴った。前田は勢いよく立ちあがり、玄関に向かう。
「お待たせ」
前田がドアを開けると、篠田がいつになく深刻な顔を下げて入ってきた。そのあとから秋元、小嶋、大島、板野が続く。その面々を見て、前田が訊いた。
「あれ、みぃちゃんとなっちゃんは?」
「二人は実家だから、まずいかなと思って」
篠田が答える。二人は相談して一期生と大島・秋元を呼んだのだった。
「そっか」
前田が頷く。それきり、沈黙が降りた。皆経験したことのない、いやな沈黙だった。
破ったのは高橋だった。
「…やっぱり自首するよ」
「それはダメ!」
小嶋が声を荒げた。全員の視線が注ぐ。
「ごめん」
「でも、にゃんにゃんの言う通りだよ。私たちそのために集まったんだからさ」
板野がフォローする。
「まず、遺体をどうにかしなきゃね」
大島が言う。
Scene8-2
「事故に見せかけるっていうのは?」
「いいね」
小嶋の提案に秋元が頷く。
「凶器はどうする?」
篠田が訊ねる。
「それなら、私今度Not yetの撮影があるから、近くの湖に捨ててくるよ」
「指原とかに言って大丈夫かな」
前田が呟く。
「大丈夫でしょ。意外にしっかりしてるし、きたりえとゆいが脇固めてるし。協力者は多いほうがいいよ」
篠田が大島に頷く。
「そうと決まったら行動だね」
秋元が立ち上がる。
「うん。そうだ、たかみなはたかみなのママに電話しておいて。私の家に泊まるって」
「う、うん」
前田の指示に高橋は曖昧に頷き、おぼつかない動作で携帯を取り出した。
「よし。わたしと陽菜と優子で死体の細工をしに行く。あっちゃんも一緒に来て死体の場所を教えて。
ともは残ってみなみのサポートをお願い。才加はみぃちゃんと佐江に連絡しておいて」
「うん。わかった」
篠田が玄関に向かいながら言う。前田と板野が頷き、小嶋と大島が篠田に続いた。
Scene9-1
「ほんとに死んでる」
小嶋がぽつりと呟く。
「しょうがないよ。隠すって決めたんだから」
小嶋の迷いをさとったのか、篠田が言う。
「そうだね。やろう」
大島はシャツの腕を捲りあげると、死体の脇から胸前に腕をまわした。
「高校の保健で習った」
「この土手から滑り落ちたことにしよう」
篠田の提案を聞くと、優子は気合を入れて男の死体を引き摺り出した。
「あっちゃんは石をもって部屋に戻って。指紋ついてるかもしれないから、処理しないと」
「わかった。よいしょ」
「重い?」
小嶋が気遣う。
「そんなに重くないよ。大丈夫。でも、すごく変なにおいがする」
と、前田は顔をしかめた。
Scene9-2
土手の下では、篠田と大島が死体の頭を落ちていた大きな石に乗せている。
小嶋はそっと土手を下りてくると、ふと声を上げた。
「この人ってさ、あっちゃんのストーカーだったんだよね?」
「そう。それが、どうかした?」
「じゃあさ、あっちゃんの写真とか画像とかたくさん持ってるんじゃない?」
小嶋の鋭さに、二人は死体の頭に手をあてたまま息を呑んだ。
「事故に見せかけるんだったら、わたしたちと接点があったらまずいでしょ?」
「にゃんにゃん…」
「…そうだね。画像か。パソコンとか携帯とか?」
篠田が言う。
「パソコンって家にあるんじゃないの?」
と小嶋。
「そうだ。鍵は?外出してるんだから、鍵持ってるんじゃない?」
大島が興奮して言う。
「ジャンパーとジーンズのポケット探って。持ち物はとりあえずみんな出そう。指紋はつけないようにね」
篠田の指示で、三人は死体を探り出した。
死体を隠してから、二人は前田のマンションで沈黙のまま篠田を待った。どのくらい経ったか定かではないが、
長い時が過ぎた。
インターホンが鳴った。前田は勢いよく立ちあがり、玄関に向かう。
「お待たせ」
前田がドアを開けると、篠田がいつになく深刻な顔を下げて入ってきた。そのあとから秋元、小嶋、大島、板野が続く。その面々を見て、前田が訊いた。
「あれ、みぃちゃんとなっちゃんは?」
「二人は実家だから、まずいかなと思って」
篠田が答える。二人は相談して一期生と大島・秋元を呼んだのだった。
「そっか」
前田が頷く。それきり、沈黙が降りた。皆経験したことのない、いやな沈黙だった。
破ったのは高橋だった。
「…やっぱり自首するよ」
「それはダメ!」
小嶋が声を荒げた。全員の視線が注ぐ。
「ごめん」
「でも、にゃんにゃんの言う通りだよ。私たちそのために集まったんだからさ」
板野がフォローする。
「まず、遺体をどうにかしなきゃね」
大島が言う。
Scene8-2
「事故に見せかけるっていうのは?」
「いいね」
小嶋の提案に秋元が頷く。
「凶器はどうする?」
篠田が訊ねる。
「それなら、私今度Not yetの撮影があるから、近くの湖に捨ててくるよ」
「指原とかに言って大丈夫かな」
前田が呟く。
「大丈夫でしょ。意外にしっかりしてるし、きたりえとゆいが脇固めてるし。協力者は多いほうがいいよ」
篠田が大島に頷く。
「そうと決まったら行動だね」
秋元が立ち上がる。
「うん。そうだ、たかみなはたかみなのママに電話しておいて。私の家に泊まるって」
「う、うん」
前田の指示に高橋は曖昧に頷き、おぼつかない動作で携帯を取り出した。
「よし。わたしと陽菜と優子で死体の細工をしに行く。あっちゃんも一緒に来て死体の場所を教えて。
ともは残ってみなみのサポートをお願い。才加はみぃちゃんと佐江に連絡しておいて」
「うん。わかった」
篠田が玄関に向かいながら言う。前田と板野が頷き、小嶋と大島が篠田に続いた。
Scene9-1
「ほんとに死んでる」
小嶋がぽつりと呟く。
「しょうがないよ。隠すって決めたんだから」
小嶋の迷いをさとったのか、篠田が言う。
「そうだね。やろう」
大島はシャツの腕を捲りあげると、死体の脇から胸前に腕をまわした。
「高校の保健で習った」
「この土手から滑り落ちたことにしよう」
篠田の提案を聞くと、優子は気合を入れて男の死体を引き摺り出した。
「あっちゃんは石をもって部屋に戻って。指紋ついてるかもしれないから、処理しないと」
「わかった。よいしょ」
「重い?」
小嶋が気遣う。
「そんなに重くないよ。大丈夫。でも、すごく変なにおいがする」
と、前田は顔をしかめた。
Scene9-2
土手の下では、篠田と大島が死体の頭を落ちていた大きな石に乗せている。
小嶋はそっと土手を下りてくると、ふと声を上げた。
「この人ってさ、あっちゃんのストーカーだったんだよね?」
「そう。それが、どうかした?」
「じゃあさ、あっちゃんの写真とか画像とかたくさん持ってるんじゃない?」
小嶋の鋭さに、二人は死体の頭に手をあてたまま息を呑んだ。
「事故に見せかけるんだったら、わたしたちと接点があったらまずいでしょ?」
「にゃんにゃん…」
「…そうだね。画像か。パソコンとか携帯とか?」
篠田が言う。
「パソコンって家にあるんじゃないの?」
と小嶋。
「そうだ。鍵は?外出してるんだから、鍵持ってるんじゃない?」
大島が興奮して言う。
「ジャンパーとジーンズのポケット探って。持ち物はとりあえずみんな出そう。指紋はつけないようにね」
篠田の指示で、三人は死体を探り出した。
【小説】古畑任三郎vsAKB48※コピペだけどいいよね(///)その2
2011年10月27日 TCG全般Scene4
二人の会話は弾んだ。列車は、あっという間に前田の最寄り駅に停車した。
「送るよ」
「ありがとう。でも改札まででいいよ。明日も早いし」
「あの、あっちゃん」
高橋は控えめに訊いた。
「なに?」
「ストーカーのこと…」
「あっ、それね。大丈夫。最近は何もないし、優子の霊感が一瞬うつっただけだったのかも」
「それなら、よかった」
高橋は心から安心した顔で胸を撫でた。
「ごめん。なにも言わなくて」
「いやいや。とりあえず安心したわ」
「あのさ、たかみな。まじめな話していい?」
「私たちがいなくなったあと、AKBどうなると思う」
「続いてると思う」
「ほんと?」
高橋は大きく頷き、続けた。
「うん。私が何としてでも続かせてみせる。それに、私たちはテレビとかだけが輝ける場所じゃないし。劇場の質は何が何でも落とさないように。それまではちゃんと見守る」
「ありがと。私も安心した」
「じゃ、また今度ね」
「うん。じゃあね」
Scene5
高橋は前田の背が夜の闇に見えなくなるまで見送った。
踵を返してホームに向かう。電光掲示板によると、次の電車は15分後だ。
高橋はトイレを済ませ、時計を見た。まだ電車の到着には8分ある。
「この時間は都内でも本数ないなー。そうだ、お母さんにメール」
そこで、高橋ははっと気付いた。
前田は足取り軽く自宅マンションに向かっていた。暗い道は人影もなく、街灯がぽつりぽつりと寂しげなスポットライトを路肩に落としているが、高橋との会話を反芻していると恐怖はなかった。
しかし、マンションの前の児童公園に差し掛かった時だった。左腕を誰かに掴まれた。叫ぶ間もなく口に手が回る。そして、首に何か冷たいものがあてられた。耳元で身の毛がよだつほど低い声がした。
「叫んだり、暴れたりしたら殺す」
Scene6
高橋が気づいたのは鞄の存在である。
切符を買う時に前田に渡してそのままだ。列車に急いで飛び乗ったあと、会話も盛り上がっているうちにお互い忘れてしまっていた。携帯電話は確かあの中だ。
「やっべ。携帯はまずいよね」
高橋はホームから引き返し、有人改札を通って駅から出た。
「はぁ。また、走んのか」
愚痴を言いつつも、高橋は走り出した。
少し走っただけで、街灯の下に前田のシルエットが小さく見えた。声をかけようとした、次の瞬間、前田の影が消えた。それも誰かに引き込まれるように。
高橋の頭には、先日のストーカーのことが真っ先に浮かんだ。慎重に、かつ素早く敦子が消えた場所まで距離を詰めていく。
間もなく、男の腕で、後ろから木に押さえつけられている前田が見えた。男の右腕がその腰のポケットに伸びた。その手が取りだしたものを高橋が見たとき、彼女のなかで何かが切れた
耳元で脅され、前田は死を覚悟した。
その時、男の後ろのほうで甲高い声が上がった。鈍い音。男のうめき。その体が力なく前田の足元に倒れる。
そして、その後ろには親友の茫然自失とした姿があった。
Scene7
高橋は持っていた石を取り落とし、暗闇でもわかるぐらい蒼白な表情で、その場にへたり込んだ。前田も倒れた男を凝視したまま、固まっている。
しかし、高橋はしばらくして、石から手を離し、頭を抱え込んだ。
「どうしよう!わたし、わたし…!そうだ、救急車…」
高橋は動転したまま、前田の足元に転がった鞄に手を伸ばした。と、前田がその手を掴んだ。
「あっちゃん?」
戸惑う高橋には答えず、前田は男の首筋に指先を当てた。
「死んでる」
「え?」
「脈がないの」
「そんな…。じゃあ、警察に…」
「待って。そんなことしたら、たかみなどうなるの?」
「それは…」
「絶対だめ。ねぇ、今たかみながいなくなったらどうするの?」
「でも…」
「絶対だめだよ。とりあえず麻里子に電話しよう」
「もしもし?」
前田が篠田と通話しているあいだ、高橋はずっと石を見つめていた。
「麻里子来てくれるって」
「うん…」
朧げに答える高橋の横で、前田は散乱していた荷物をまとめ出した。
二人の会話は弾んだ。列車は、あっという間に前田の最寄り駅に停車した。
「送るよ」
「ありがとう。でも改札まででいいよ。明日も早いし」
「あの、あっちゃん」
高橋は控えめに訊いた。
「なに?」
「ストーカーのこと…」
「あっ、それね。大丈夫。最近は何もないし、優子の霊感が一瞬うつっただけだったのかも」
「それなら、よかった」
高橋は心から安心した顔で胸を撫でた。
「ごめん。なにも言わなくて」
「いやいや。とりあえず安心したわ」
「あのさ、たかみな。まじめな話していい?」
「私たちがいなくなったあと、AKBどうなると思う」
「続いてると思う」
「ほんと?」
高橋は大きく頷き、続けた。
「うん。私が何としてでも続かせてみせる。それに、私たちはテレビとかだけが輝ける場所じゃないし。劇場の質は何が何でも落とさないように。それまではちゃんと見守る」
「ありがと。私も安心した」
「じゃ、また今度ね」
「うん。じゃあね」
Scene5
高橋は前田の背が夜の闇に見えなくなるまで見送った。
踵を返してホームに向かう。電光掲示板によると、次の電車は15分後だ。
高橋はトイレを済ませ、時計を見た。まだ電車の到着には8分ある。
「この時間は都内でも本数ないなー。そうだ、お母さんにメール」
そこで、高橋ははっと気付いた。
前田は足取り軽く自宅マンションに向かっていた。暗い道は人影もなく、街灯がぽつりぽつりと寂しげなスポットライトを路肩に落としているが、高橋との会話を反芻していると恐怖はなかった。
しかし、マンションの前の児童公園に差し掛かった時だった。左腕を誰かに掴まれた。叫ぶ間もなく口に手が回る。そして、首に何か冷たいものがあてられた。耳元で身の毛がよだつほど低い声がした。
「叫んだり、暴れたりしたら殺す」
Scene6
高橋が気づいたのは鞄の存在である。
切符を買う時に前田に渡してそのままだ。列車に急いで飛び乗ったあと、会話も盛り上がっているうちにお互い忘れてしまっていた。携帯電話は確かあの中だ。
「やっべ。携帯はまずいよね」
高橋はホームから引き返し、有人改札を通って駅から出た。
「はぁ。また、走んのか」
愚痴を言いつつも、高橋は走り出した。
少し走っただけで、街灯の下に前田のシルエットが小さく見えた。声をかけようとした、次の瞬間、前田の影が消えた。それも誰かに引き込まれるように。
高橋の頭には、先日のストーカーのことが真っ先に浮かんだ。慎重に、かつ素早く敦子が消えた場所まで距離を詰めていく。
間もなく、男の腕で、後ろから木に押さえつけられている前田が見えた。男の右腕がその腰のポケットに伸びた。その手が取りだしたものを高橋が見たとき、彼女のなかで何かが切れた
耳元で脅され、前田は死を覚悟した。
その時、男の後ろのほうで甲高い声が上がった。鈍い音。男のうめき。その体が力なく前田の足元に倒れる。
そして、その後ろには親友の茫然自失とした姿があった。
Scene7
高橋は持っていた石を取り落とし、暗闇でもわかるぐらい蒼白な表情で、その場にへたり込んだ。前田も倒れた男を凝視したまま、固まっている。
しかし、高橋はしばらくして、石から手を離し、頭を抱え込んだ。
「どうしよう!わたし、わたし…!そうだ、救急車…」
高橋は動転したまま、前田の足元に転がった鞄に手を伸ばした。と、前田がその手を掴んだ。
「あっちゃん?」
戸惑う高橋には答えず、前田は男の首筋に指先を当てた。
「死んでる」
「え?」
「脈がないの」
「そんな…。じゃあ、警察に…」
「待って。そんなことしたら、たかみなどうなるの?」
「それは…」
「絶対だめ。ねぇ、今たかみながいなくなったらどうするの?」
「でも…」
「絶対だめだよ。とりあえず麻里子に電話しよう」
「もしもし?」
前田が篠田と通話しているあいだ、高橋はずっと石を見つめていた。
「麻里子来てくれるって」
「うん…」
朧げに答える高橋の横で、前田は散乱していた荷物をまとめ出した。
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